松竹配給「アントキノイノチ」は既報のとおり、第35回モントリオール世界映画祭(8月18~28日)で “イノベーションアワード” を受賞、その報告会見が8月30日夜、松竹本社会議室で行われた。授賞式に出席した瀬々敬久監督の帰国に合わせて会見は行われ、主演の岡田将生、榮倉奈々も登壇し、3人が受賞の喜びを語った。
同作品は、「余命1ヶ月の花嫁」「Life 天国で君に逢えたら」のスタッフが手掛けた感動作。原作は、さだまさし「アントキノイノチ」(幻冬舎文庫)。生きることに絶望した男女が、遺品整理業を通じて、生きる勇気を取り戻す様が描かれる。
今回受賞したイノベーションアワードは、その年の映画祭で、最もインパクトを与え、革新的で質の高い作品に与えられる賞。同賞を受賞した近年の邦画作品としては、2004年(第28回)の「風音」(東陽一監督)がある。「アントキノイノチ」の海外版タイトルは、「Life Back Then」。現地では、8月19日に記者会見とプレミア上映会が実施され、瀬々監督、岡田、榮倉、平野隆プロデューサーが参加した。11月19日全国ロードショー。
▼瀬々敬久監督 3月に日本では大変なこと(震災)が起き、それ以来、生と死の渦中にいる。第三者的ではなく、そのど真ん中で生きているんだ、そんな今という時代を描き、それが海外にダイレクトに伝わった。日本のことを描いて世界に伝えようと思って作ったが、実は描いていることは世界共通のことなんだと、映画祭を通じて気づかされた。この映画のテーマは、人と人とのつながり。今回の受賞が、つながりの第一歩となって、映画を見てもらって、更につながっていければと思う。
▼岡田将生 演じた永島杏平の過去のシーンが、斬新に描かれる。そういった点が “革新的” と評価されたのではないか。一般の人と一緒に映画を見るのはあまりないことで、映画祭の上映では観客の反応がよく分かった。感動したり、泣いていたりというのが、自分の心に伝わってきて、良い経験になった。早く日本の人たちにも見てもらいたい。
▼榮倉奈々 映画祭に行けただけでなく、作品全体に対する賞をいただけて、とても嬉しい。演じた久保田ゆきの背景は、一般的には共感できないものだと思うが、映画を見た海外の人が、劇中の2人(岡田、榮倉)の会話で心を動かされたと話してくれた。イノベーションアワードということなので、ぜひ多くの若い人たちに映画を見てほしい。