【FREE】10/2より特集上映、川島監督に聞く
2010年09月29日
83年「竜二」で鮮烈デビューを飾り、80~90年代に数々の秀作、傑作映画を生み出した川島透監督。90年代後半より映画業界の第一線から遠ざかっていたが、本格復帰に向けていよいよ動き出す――。
10月2日(土)から8日(金)まで、東京・渋谷のシネマヴェーラで川島監督初の特集上映『川島透映画祭』が開催される。「竜二」から「チ・ン・ピ・ラ」(84年)、「CHECKERS in TANTANたぬき」(85年)、「野蛮人のように」(85年)、「ハワイアン・ドリーム」(87年)、「押繪と旅する男」(94年)まで、川島監督が過去に撮った映画全6作品が一挙上映される。この特集上映を前に、川島監督が本紙のインタビューに応じた。
川島監督が表舞台に姿を見せるのは、「押繪~」の公開時以来、約16年ぶりという。「あっという間だったという気がするね。何してたか? 何していたんだろう(笑)」。映画界を離れていた理由は「たくさんある」という。一例として、この16年で映画製作の形が大きく変容し、理想の映画作りが出来なかったことを挙げた。また、「映画監督だけじゃなくて色んなことを経験したかったんだよね」とも。それでも映画への情熱は失わず、昨年、長年住んだ東京を離れ地元・福岡に転居し、その思いは一層膨らんだようだ。「沸々とね、また映画がやりたくなってきた。気持ちがワーっと盛り上がってきた」。
特集上映では、ヤクザ映画からアイドル映画までバラエティに富んだ監督作全6本を総回顧。川島監督は「かつて見てもう一度見たいって人が多いんだろうけど、それぞれに贔屓(の作品)があって面白そう。それに、初めての人がどう見てくれるのかも楽しみ。まとめて見ていただけると、そんな幸せなことはない」と期待を寄せる。
会期中は、川島監督自ら毎日トークショーに登壇し健在をアピールするとのことで、「舞台に立ったりするのは苦手だけれど、今回は何でもやる」と意欲的だ。対談相手には、かつて作品で起用した元チェッカーズ・武内享、製作に携わった河井真也プロデューサーをはじめ、初対面だという作家・桐野夏生、島田雅彦ら。今だから明かせる秘蔵エピソードも多数用意しているという貴重なトークショーになる模様。
この特集上映を起爆剤に新作が期待されるが、「数本書きためていて、どれが1番に進行するかというところ。来年には撮るよ」と明言。「川島透は怖いとか金使うとか(業界内には)悪い噂もあるけど、この通り怖くない。結構予算も守るし、最近は仕事も早いんだぜ」と笑った。「竜二」の衝撃が甦り、日本映画界へ新たな〝波〟を起こすか注目される。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。