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東映他『宝島』東京プレミア、妻夫木「映画の力を信じたい」

【FREE】東映他『宝島』東京プレミア、妻夫木「映画の力を信じたい」

2025年09月11日
『宝島』東京プレミアに豪華キャスト集合 『宝島』東京プレミアに豪華キャスト集合

 東映、SPE配給『宝島』の東京プレミアが9日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、レッドカーペットイベント後に舞台挨拶が行われた。当日は大友啓史監督、主演の妻夫木聡をはじめ、共演の広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太、塚本晋也、中村蒼、瀧内公美、栄莉弥、尚玄、木幡竜、奥野瑛太、村田秀亮(とろサーモン)、デリック・ドーバーの豪華キャスト陣が一堂に会した。

 真藤順丈の同名小説(講談社文庫刊)を原作とする同作は、アメリカ統治下の沖縄を舞台に、自由を求めて駆け抜けた若者たちの葛藤と青春を描く衝撃と感動のエンターテインメント作品。総製作費25億円の超大作。

 大友監督は「(完成まで)6年かかった。ただの6年ではなく、コロナで2回頓挫したので、僕にとっては10年ぐらい時間がかかったような気がしている。普通、この規模の映画は一回飛ぶとなかなか立ち直れないが、この映画は2回の危機を乗り越えてこの日を迎えられた。奇跡だし、キャストと、ここにいないスタッフも含めて、全員がこの映画をいま届けなければいけないことを理解して頑張ってくれた」と万感の思いを述べた。

 主演の妻夫木は、撮影に寄せた熱意はもとより、全国20か所以上を訪れ、各地の観客一人一人に名刺を手渡すなど並々ならぬ思いでプロモーション活動にも力を注いだ。その情熱の源を問われると「僕は映画の力を信じたい」と切り出し、「この映画に1%でも誰かの人生を変えられる力があるなら、僕はそれを信じたい。その奇跡を目の当たりにしたいし、そのためには手渡しで届けていかなきゃという思いがすごくあった」と熱弁。共演の広瀬も「妻夫木さんをはじめ、皆さんが沖縄という場所と正面から向き合い、愛と情熱を持って作品に取り組む姿が刺激的だった。自分が役や作品と向き合う時の概念を変えられるような姿に感動した」とスタッフ・キャストの同作に懸ける強い思いに感銘を受けたことを語った。

 また、この作品を今映画化する意図について質問された大友監督は「(その説明は)2~3時間かかる」と会場を笑わせつつ、「リゾートアイランドとしての沖縄は知っているが、日本が高度経済成長に向かっていたその裏で、日本に復帰できず、日本の憲法の自由や平等、個人の尊厳というものが適用されることなく、弱肉強食の世界だったことを僕たちは知らなきゃいけない。知るだけでなく、感じなきゃいけない。暗闇の中で集中して見る映画は、それを追体験できる。僕らがどこまでそこ(真実)に迫れたかわからないが、やれることは精一杯やった。歯を食いしばって、限界ギリギリのところまでやったつもり。だから、皆さんから感想を聞きたい」と会場に呼びかけ、妻夫木も「(舞台挨拶前に上映終了しているため)皆さんの中では1つのエンディングを迎えていると思うが、この映画の本当のエンディングは、僕たちの未来ではないかと思う。この映画を通じて、1人1人が考えていければ良い未来が待っているのではないか。この映画にはその力があると心から信じている」と公開後の波及力にも期待を寄せた。9月19日(金)公開。

 (取材 平池由典)
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。