東映、SPE配給『宝島』の完成報告会が5月5日、丸の内TOEIで開催され、大友啓史監督、出演の妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝が登壇。また、永山瑛太がビデオメッセージを寄せた。
直木賞を受賞した真藤順丈による同名小説(講談社文庫)を映画化。舞台は1952年、アメリカ統治下の沖縄。米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちの姿を通じて、誰も描かなかった沖縄、誰も知らない空白の20年、そして戦争に翻弄され運命を絡めとられた人々の姿を圧倒的な熱量と壮大なスケールで描く、上映時間191分のエンターテインメント超大作。
完成した作品を見た妻夫木は「圧倒的な生命力を感じた。『死』は終わりを意味するものだと思っていたが、(この作品を見て)『死』があるからこそ『生』がある。死が生きとし生ける者の糧になるものなのかなと。受け継がれていく何かを僕たちは持っていて、それに支えられ、僕たちは生きているんじゃないか。だからこそ、精一杯生きていかなくちゃいけないという思いが湧き上がった」と語ると、広瀬は「良い意味ですごく疲れた。色々なものを喰らい過ぎた」、窪田は「死という概念が(当時の)彼らと今では違うと思う。もしかしたら次の瞬間に命を奪われるかもしれない。でも死が隣り合わせだからこそ全力で生きている青年たちの想いを、時間を超えて客観的に見た時に、生きている魂を感じた」と話し、それぞれが同作に衝撃を受けた様子。大友監督も「原作を読んだ時に、生きるエネルギーを痛切に感じた。沖縄に宿る魂が、現代の我々に時空を超えて語りかけているようなパワーを感じた」とキャストと同様に、力強く描かれる「生」に感銘を受けたことを述懐。コロナ禍の影響で撮影は二度延期されたものの、「ずっと“今”だと思って2年、3年経って大変だった(苦笑)。今やらなきゃいけない、今逃すとタイミングがなくなるかもしれない(と思った)。早く見てほしい」と、今だからこそ見るべき映画であることを強調した。
また、妻夫木は同作の宣伝アンバサダーに就任が決定。監督とともに、6月7日の沖縄でのプレミアを皮切りに全国キャラバンを実行する。「撮っている時から、この映画はしっかりと(お客の)皆さんに会いに行って宣伝したいと思っていた。『ウォーターボーイズ』をやった時に、色々なところを監督と回り、その土地土地でみんなが映画を好きになってくれて、『応援します』と、映画がその人のものになっていくのを体験した。あの時に感じたことを『宝島』でもできないかなと思った。この映画はそうあるべき。沖縄が舞台だが、日本の物語であり、皆さんの物語だと思っている。人生のバトンの物語でもあり、受け継がれてきたバトンを未来に渡さなきゃいけないと思っている。アンバサダーに就任し、直に言葉を届け、映画を見てもらいたい。僕の先々の土日のスケジュールは全部埋まっている」と、プロモーションに並々ならぬ意気込みを示した。9月19日(金)公開。