東宝配給『国宝』(製作幹事:MYRIAGON STUDIO/制作プロダクション:CREDEUS)の完成報告会が23日、東京・内幸町の帝国ホテルで開催され、李相日監督、出演の吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、見上愛、田中泯、渡辺謙が出席した。
吉田修一が3年間歌舞伎の黒衣を纏い、楽屋に入った経験を血肉にし書き上げた渾身作「国宝」を、李相日監督(『悪人』『怒り』)が映画化。任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の50年を描く。
主演の吉沢亮は「撮影期間を含めて1年半、歌舞伎の稽古を重ねて役作りに向き合った。どの作品も全力でやっているが、この作品はかけた時間とエネルギーの量が桁違い。僕の今までの役者人生の確実に集大成で、今まで培った全てをぶつけた作品」と同作に懸けた並々ならぬ想いを吐露。すでに完成した作品を2度観たといい、「とにかく凄いものを観たという余韻がある。カメラワーク、皆さんのお芝居、美術、ライティング、本当に総合芸術としての素晴らしさがこの作品にはある」と絶賛した。
一方、主人公・喜久雄の親友であり生涯のライバルである俊介を演じた横浜流星は、役柄について「自分とは正反対、苦手な人間。だから普通の役作りと違い、まず理解するところから始めた」とし、『流浪の月』に続きタッグを組んだ李相日監督について「自分の中にあり、でも律して眠らせているものを解放させ、挑戦させてくださる。非常に幸せな時間を過ごせた」と撮影を振り返った。
歌舞伎の映画という難しい題材に挑んだ李監督は「100年近く歌舞伎の映画はなかなか無かったわけで、なぜ無いのかはやってみてわかった」と困難だった企画を回想。吉田修一からは製本される前の段階で原作を受け取っていたといい、「歌舞伎(を題材にすること)はあり得ないということを吉田さんに突破して頂き、次は自分が背負う番(だと思った)。その背負う仲間としてまずは吉沢くんを引き入れた。僕一人では背負えないものだったので、一人一人と背負い分け合った」と、関わった全員が支えあった作品であることを強調した。ラッシュの段階で作品を鑑賞した吉田修一からもお墨付きを得られた模様で、「観終わったあとに非常に興奮されていた。ボソッと『想像を超えてきた』とも付け加えて頂いた」と語った。
渡辺謙も同作の仕上がりには感嘆し、「試写を見たあとすぐに李に『これ吉沢は代表作になるね』と言った。この作品を背負う覚悟とある種の執念を亮が持ち続けて、俳優仲間として尊敬できた」と吉沢の作品に向き合う姿勢を絶賛。吉沢自身も「僕の代表作になってくれたらいいなという想いでやらせて頂いた作品なのですごく嬉しい」と渡辺の言葉に笑顔を見せた。
公開は6月6日(金)。同作の主題歌は原摩利彦が手掛けた「Luminance」に決定、King Gnuの井口理が歌唱で参加、作詞には坂本美雨が参加したことも発表された。