閲覧中のページ:トップ > 映画ニュース >

コンペ充実で観客増、第3回新潟国際アニメ映画祭レポ

コンペ充実で観客増、第3回新潟国際アニメ映画祭レポ

2025年03月28日
 第3回新潟国際アニメーション映画祭(企画制作:ユーロスペース+ジェンコ)が、新潟市内の4会場を中心に3月15~20日の6日間開催された。本紙が取材した初日と2日目を中心にレポートする。(取材:平池由典)
 

 世界的に短編作品のコンペティションが中心のアニメーション業界において、長編作品のコンペに特化する形で2023年に誕生した新潟国際アニメーション映画祭。年々応募数が増えており、今年は28か国・地域から69作品の応募があった。その中から厳選された12作品がラインナップ。『ルックバック』、『化け猫あんずちゃん』の日本勢をはじめ、イタリア、ブラジル、チェコ、オーストラリア、ドミニカ、米国、ハンガリー、韓国、アメリカ、スペイン(ほか合作)と、非常に多様な製作国の作品が集結した。

 国籍だけでなく、その表現方法も実に多様だった。伝統的な手描き作品はもとより、2DタッチによるCG作品、先に実写を撮影してからアニメに落とし込む「ロトスコープ」を活用した作品、ストップモーションによる作品、切り絵を動かして描く作品など、昨年開催の取材記事(本紙24年3月22日付)でも記したとおり、「実写以外の全ての映像」の表現がここに集まっていると言えそうだ。

 本紙が現地で鑑賞したコンペ作品は3本。そのうち、最も実験性が高かったのはイタリアの『バレンティス』(ジョヴァンニ・コロンブ監督)。1940年に実際に起きた事件を全編モノクロで描く作品だが、エアブラシも活用したという画は非常に抽象的で、登場人物たちの顔の様子もほとんどわからない。汽車も「車輪のみ」で描くといった具合で、鑑賞者の想像力による補填に大きな部分を委ね、その事件の悲劇さを際立たせる。実はジョヴァンニ監督は全くアニメ制作の知識がなかったものの、知人からアニメとして描くことを薦められて同作に挑戦。ただ、細やかな描写では手間がかかり過ぎることもあり、こういった個性的な手法を選んだのだという。……

この記事の全文は「日刊文化通信速報(日刊紙+Web)」の定期購読者のみ閲覧できます。