【FREE】帝国DB発表、23年アニメ制作市場は3390億円
2024年08月28日
帝国データバンクが27日発表した「アニメ制作市場の動向調査」によると、2023年のアニメ制作業界の市場規模(事業者売上高ベース)は、前年(2757億8300万円)を22・9%上回る3390億2000万円となった。安定したテレビアニメ制作本数の確保に加え、動画配信サービス向けの大型制作案件が多かったことなどが市場拡大に貢献。また『すずめの戸締まり』など劇場版アニメで大ヒットに恵まれ、興収が増加したことがアニメ制作各社の業績を押し上げた。なお、2024年も同水準の3400億円前後の着地が予想されている。今年7月現在、国内のアニメ制作会社は317社にのぼる。
2023年の制作会社1社あたりの平均売上高は11億2300万円で2年連続増となり過去最高を記録。ただ、「元請・グロス請」で増加が顕著な一方、下請となる「専門スタジオ」では小幅な伸びにとどまった。会社ごとの前年比(比較可能な301社が対象)は、増収が37・2%、前年並みが37・9%、減収が24・9%だった。損益面では増益となった企業が44・9%を占めた一方、赤字の企業も32・3%と多く4年連続で3割を超えた。前年並みは2・4%、減益は20・5%。グッズなどのアニメ市場が活性化する一方で、こうした恩恵を享受できない中小アニメ制作会社が一定数存在し、二極化が進んでいる。
これらの結果を受け同社は、「2020年代のアニメ制作業界は、配信チャネルや収益源が多様化するなかで、クオリティ維持や将来に向けた投資を可能とするヒット作の収益還元といった仕組みづくりにおいて、どのような制作モデルが最適かを模索する展開が続くとみられる」と分析している。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。