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『鉄道員』舞台の駅廃線、木村大作氏講演

【FREE】『鉄道員』舞台の駅廃線、木村大作氏講演

2024年03月26日
幾寅駅をバックに写る木村大作氏と幾寅婦人会のメンバー 幾寅駅をバックに写る木村大作氏と幾寅婦人会のメンバー

 高倉健さん主演『鉄道員(ぽっぽや)』の舞台となった「幾寅駅」が、3月31日をもって廃線、121年の駅の歴史を閉じるのにあたり、北海道空知郡南富良野町の「南富良野町保健福祉センターみなくる」で23日に上映会が行われ、当時のキャメラマンである木村大作氏が講演を行った。

 幾寅駅は、1999年1月17~30日に『鉄道員(ぽっぽや)』のロケ撮影が行われた地。2016年に台風被害を受けた後、幾寅駅の線路には一度も列車が走ることはなく、復旧の目処もつかないままの廃線となる。

 「幾寅駅」の駅舎には、劇中の「幌舞駅」という駅名が撮影時のまま掲げられているほか、高倉さんが劇中で着用した「駅長のコート」をはじめ小道具や関連する品々が飾られており、日本全国、アジアを中心とした海外の人々も年間4万人も訪れる観光地となっていた。

 今回の上映会は、幾寅駅の魅力を振り返り、町民の心に思い出を刻もうと南富良野町企画課まちづくりプロジェクト推進室が企画したもの。木村氏は、上映前に集まった幾寅婦人会のメンバーと駅舎の前で写真を撮りながら昔話に花を咲かせた。婦人会はロケ撮影中、毎日ボランティアで食事作りに協力した。また、毎日駅を清掃し、高倉さんの命日には毎年祭壇を設けており、木村氏が文化功労者に選ばれた際は駅舎の中に「おめでとう」の幕を掲示するなど、常に『鉄道員(ぽっぽや)』とともに歩んできた。

 イベントでは、冒頭に南富良野町の髙橋秀樹町長が挨拶し、続いて木村氏が登壇。「当初、この企画に難色を示していた高倉さんだったが、自分にできることは先行してロケハンして準備することだと、2週間ほど北海道中をトラックで自ら運転してたどり着いたのが幾寅駅だった。幾寅駅は駅舎より線路が高いところにあり、乗客は階段を登ってホームから列車に乗り込む。幾寅駅に決めた理由は、この階段が高倉健や登場人物の心情を表すから」とロケ地に決めたエピソードを語り、撮影にあたりコンクリートの電柱から木の電柱に変えてもらい、その電柱が今も存在していることなども話した。

 イベントには、遠く広島や埼玉などからもファンが駆けつけ、130人が鑑賞した。なお、駅舎と、撮影時から残してある3棟のロケセット(「だるま食堂」など)は今後も保存し地域振興に繋げていく。老朽化したロケセットは改修し、東映の協力のもと塗装を実施。町の大きな観光資源として活用する。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。