スマッシュヒットしたコマ撮り映画『JUNK HEAD』のトークショー付き上映会が、新潟国際アニメーション映画祭で16日に開催され、堀貴秀監督が登場。聞き手をコマ撮りアニメーションの第一人者・伊藤有壱氏が務めた。
『JUNK HEAD』はコロナ禍の2021年3月に公開され、全国11館でのスタートながら、最終的に興収1億円を超えるヒットとなった。海外の国際映画祭では多数入賞・入選し、堀監督はNHKでも特集が放送されるなど注目を集めている。現在は続編の『JUNK WORLD』を制作中だ。
レンタルで1日10本見るのも平気というほど映画好きの堀監督だが、上がり症で口下手のため、実写での映画制作には進まず、独学でコマ撮りの道に進んだという。もともと内装の仕事を請け負っていたが、『JUNK HEAD』の制作中は仕事をセーブし、映画作りに全力投球した。公開時は「独りで制作」と宣伝されていたものの、実際には3~4人で制作に臨んでいたと明かした。30分の短編版を2014年に発表し、続いて長編版は2017年に完成していた。ただ、出資会社とのトラブルがあり、公開までに4年の月日を費やしたという。
現在制作している『JUNK WORLD』は、前作から1000年前を舞台にしている。前日譚になった理由について堀監督は「(『JUNK HEAD』が)公開されないと次が作れなかったので、ペンキ屋で住み込みのアルバイトをしながら、次の作品の絵コンテを描いていた。『JUNK HEAD』はお蔵入りになるかもしれないという心配があったので、その場合、今作っているもの(『JUNK WORLD』)が成り立つように1000年前として考えた。行って戻っての『スター・ウォーズ』形式となったが、3作目のアイデアも練れていて、結果として面白い作品になったかもしれない」と自信を覗かせた。
『JUNK HEAD』はヒットしたものの、監督の純粋な収入は7~8万円程度だったという。一方で、自主制作・自費出版したパンフレットが2万5千部ほど売れたため、その1~2千万円の利益で生活していると明かす。次作の配給はアニプレックスに決まっているが、製作は自社で行っているため、ヒットさえすれば「大きくお金を稼げるはず」と期待を込めた。
注目の公開日は、2025年の5月を目指しているという。現在は6人のチームで制作にあたる。「キャラも規模も増えてすごい大変。でも予算はそんな増えていない(苦笑)」としつつ、「自分的には(この作品は)新しいジャンルだと思っている。今は苦しいけど、やり遂げれば新しい何かが生まれるし、進めるという感覚でみんな今頑張っている」と次作への意気込みを語った。