【FREE】TBSドキュ映画祭、大久保竜Pが特別講義で語る
2024年03月01日
今年で4回目を迎える「TBSドキュメンタリー映画祭2024」(3月15日~)の企]画・エグゼクティブプロデューサーを務める
大久保竜氏(TBSテレビ報道局 局次長)が2月26日、映画業界を目指す学生や社会人へ特別講義を実施。映画学校「ニューシネマワークショップ」に集まった約40人(うちリモート8人)に対し、映画祭の成り立ちや作品選定の裏話、映画祭後の展望を語った。
大久保プロデューサーは「我々は普段膨大な人とお金をかけてさまざまな取材を行っているが、テレビだとニュースの中のたった数分の紹介で終わってしまうこともあるので、それをまとめる場所があればいいなと思っていた。こうした取材映像は当時の記録として大切に保管すべきだし、今ならまだ実際に事件や歴史を知る人が生きているので、ファクトチェックもできる。そうしたロードマップの作成にも意義があると思うし、実際に賛同してくれる人々も多かった」と話し、そうしたアーカイブ映像を整えて映画として上映すれば面白いのではないか、それを望んでいる人がどこかにいるのではないか、という思いから「TBSドキュメンタリー」は始動したという。大きなきっかけは『三島由紀夫vs東大全共闘 ~50年目の真実~』で、興収2億円を超えるヒットを記録。知的財産である膨大な取材映像を使ったIP展開の可能性を高める一作となった。以来、過去の取材映像をアップデートして作品化し、映画館で上映することをミッションとしているという。
当初はアーカイブ映像の発表の場として生まれた同映画祭だったが、社内で上映作品を募集すると、記者やディレクターたちから次々と手が上がり、アーカイブ映像に限らず、新作も含めて映画にして伝えたい人たちが多数いることがわかった。そこでTBSのドキュメンタリー番組「解放区」で反響が大きかったものを中心に、作り手の熱量の高い作品を上映ラインナップとして選定していったという。大久保プロデューサーは、「映画祭で上映、その上で配給会社から声がかかり、映画館での単独興行につながる作品も出てきて、そうした連動が特徴的な映画祭になっていった」と説明する。
作品については、前記の通り熱量の高い作品を選んでいるが、併せて「興行作品として重要なのは、ジャンルのコミュニティやソサエティの人々に興味を持ってもらえるかどうか。たとえば今年のラインナップでいうと、ボーイズグループ『カラフルダイヤモンド』に密着した『カラフルダイヤモンド君と僕のドリーム』は、彼らのファンクラブの方々が観に来てくれるというイメージがつきやすい」と戦略についてもコメント。一方で「もちろんそれだけでなく、イスラム国の今を追いかけた『BORDER 戦場記者×イスラム国』のような、見る人に問いかけをする“問題提起作品”も扱っていきたい。まだあまりファンがついていないと思われる作品を広めることも本映画祭の使命だと思っているので」と語った。また、今後の展望について「いずれは海外の映画祭にも出品するなど、世界にも広げていきたい。もっと気軽にドキュメンタリーが観られる空気を作って、ドキュメンタリー文化も発展させていきたい」と明かした。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。