東宝配給、スタジオポノック最新作『屋根裏のラジャー』(12月15日公開)のジャパンプレミアが16日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、百瀬義行監督、西村義明プロデューサー、声優を務めた寺田心、鈴木梨央、安藤サクラ、仲里依紗、山田孝之、イッセー尾形が登壇した。
同作は、英国の詩人・作家のA.Fハロルドによる小説「The Imaginary」を原作とし、想像から生まれた「イマジナリーフレンド」の少年ラジャーたちの、現実と想像が交錯する世界で繰り広げられる大冒険を描く。
マスコミ試写で評判になっている同作について、キャストからも絶賛の声が次々と挙がり、仲は「(普段)試写室で見る時は仕事モードに入り、泣くもんかというスイッチが入るが、(この作品は)我慢するのが無理だった。号泣してしまい、嗚咽が出るぐらい。帰りの車でも思い出してこみ上げてきた」と話すと、山田も「本当に面白い。試写が終わって後ろに座っていたマネージャーにすぐにそう言った。25年(俳優を)やっているとそう言えない作品もあるが、(この作品は)本当に感動した」と褒めちぎった。
主演を務めた寺田は、中学生になり「身長が40cmも伸びた」と明かすほどの成長期。今作のアフレコをする頃はちょうど声変わりに差し掛かっていた時期だといい、「声が不安定な時だったので、あまり大きい声を出さないようにして、白湯やはちみつを飲んですごく気をつけた。ちょっとずつ変わっていくあの時期を『屋根裏のラジャー』という映画に収めることができたので、そこも楽しみにご覧頂きたい」と作品に懸けた思いを語った。
こういった声優陣の頑張りについて、百瀬監督は「“アニメーション”という言葉は命を吹き込むという意味合いがある。絵で描かれたキャラクターに、キャストの方の演技によって肉付けしてもらい生身の感じを与えてもらえた。アニメーションは、作画とそれ以降のことが別じゃない、一つに繋がっている実感を持てた」と声優陣に感謝の意を伝えた。
劇中に登場するイマジナリーフレンドたちは、想像主に忘れられると消えてしまうという特性を持つ。しかし同作では、消えたイマジナリたちも、その存在は誰かの中に残り続けるというメッセージが込められている。イベントの最後に西村プロデューサーがマイクを持ち、「僕には40歳ぐらい年の離れた友達がいた。高畑勲という人で、高畑さんとはもう1本映画を作ろうと約束もしていた。高畑勲という人がいなければ、アニメーション映画の道を志していないし、百瀬監督とも出会っていなかった。ましてや『屋根裏のラジャー』という作品も生まれていなかった」と述懐。亡くなったあとも高畑監督の存在がこの作品の中に残っているという思いを窺わせながら、「今日は関係者の方にお願いして、僕のイマジナリーフレンドである“イマジナリ高畑勲監督”のために1席分用意してもらった。1番手厳しい先輩に見てもらう(笑)」と、巨匠への敬意に溢れたコメントでイベントを締めくくった。