東宝配給、Amazonスタジオ製作『沈黙の艦隊』(9月29日公開)の完成報告会が24日、六本木のグランドハイアット東京で開催され、監督の吉野耕平、Amazonスタジオのローカルコンテンツディレクターであるダナエ・コキノス、原作者のかわぐちかいじ、主演でプロデューサーも務めた大沢たかお、出演の玉木宏、水川あさみ、ユースケ・サンタマリア、中村蒼、中村倫也、夏川結衣、江口洋介が登壇した。
原作は、かつて各方面で論争を呼び、社会現象となったかわぐちかいじによる大ヒットコミック「沈黙の艦隊」。防衛省・海上自衛隊の協力により、邦画では初めて実物の潜水艦が撮影に使用されるなど、壮大なスケールで実写映画化された。
会見でははじめに、米シアトルからこの日のために来日したAmazonスタジオのダナエ氏がコメントし、同作の製作経緯について「松橋真三プロデューサーが企画を立ち上げ、大沢たかおさんとともにAmazonスタジオに声をかけてくれた。“Amazonスタジオ”は日本ではまだ新しいかもしれないが、これまでもベン・アフレックとマット・デイモン主演の『AIR/エア』や、アカデミー賞(音響賞など)を受賞した『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』などを劇場公開してきた。日本では初めてとなる劇場映画が『沈黙の艦隊』のような野心的なプロジェクトであることを誇りに思う」と語った。
プロデューサーも務めた大沢は「原作を知っている人から見れば、スケールの面からも(映像化の)ハードルが高いし、核というタブーに真っすぐに切り込む(作品)。防衛省、海上自衛隊の協力を得ることができるのかという大きな課題があるところからのスタートだった。その中で、Amazonをはじめ皆さんに協力して頂いてスケールは確保できた。そして、防衛省・海上自衛隊の皆さんに『今だからこそ』と協力して頂くことができ、このプロジェクトが始動した。長い道のりだったが、ようやく(完成し)スタートラインに立ち、今ワクワクドキドキしている」と、困難と思われた企画を完成披露までこぎつけた充実感を漂わせた。
吉野監督は「キャストの方の熱いエネルギー、そしてこれを形にしたいという美術、CGのスタッフもこの原作を愛している方が多く、まさにその力が今日の公開に結び付けてくれた」とキャストとスタッフに感謝の意を示し、原作者のかわぐちは「漫画もだが、映画は人間が生きていないと、その世界が嘘八百になる。(大沢演じる主人公)海江田を見て『生きている』と感じた。それと、本物の潜水艦が登場する力、圧力をひしひしと感じた。原作は様々な要素が散らばっているが、映画では枝葉をきちんとそぎ落とし、テーマに焦点を合わせて演出している。監督の力に感動した」と絶賛の言葉を並べ、映画に太鼓判を押した。なお、完成報告会のあとは会場をTOHOシネマズ六本木ヒルズに移し、笹野高史も合流して完成披露舞台挨拶が行われた。