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大阪の「シネ・ヌーヴォ」が再度の支援呼びかけ

【FREE】大阪の「シネ・ヌーヴォ」が再度の支援呼びかけ

2023年07月19日
 大阪市・西区の「シネ・ヌーヴォ」が、映画館存続のための支援・寄付を募る「シネ・ヌーヴォFROM NOW ONプロジェクト2023」をこのほど開始した。

 同館によると、経営は従来から赤字基調にあり、2020年のコロナ禍で休館を余儀なくされた際は、存続すら危ぶまれる事態となった。しかし、「Save our local cinemasプロジェクト」「ミニシアター・エイド」の呼びかけに賛同し行動を共にしたところ、多くの支援・支持が寄せられ勇気を得られたという。この支援により無事に存続でき、その後も、昨年、一昨年と2年続けて「ARTS for the future!」(コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業)があり、その支援金などをもとに、毎年の数百万円もの赤字の支払いに充当でき、コロナ禍でも存続することができた。

 ただ、今年度からそれら補助金が解消された。2020年度以降も観客減は続いており、いまだコロナ前の水準には戻っていないという。そんな中、2020年の緊急事態宣言の際に「支払い猶予」された税金(消費税ほか)や年金など公的資金の取り立てが今年3月の年度末を機に非常に厳しくなった。毎年、これら税金などの公的支払額は500万円以上にのぼり、なんとかやりくりしてきたものの、2020年の「支払い猶予」の結果、その翌年の2021年には通常の倍額(1000万円以上)の納付を通告された。分割納付してきたものの、収入が減っている中での支払いは厳しく、督促を受ける日々が続いているという。

 さらに、昨年、耐用年数が切れるデジタル映写機を買い替えることが急務となった。補助金が入ること、さらに公的融資を活用するなどして自力で行おうと計画したものの、工事直前になり、経理状態が良くないとの理由から、半額しか融資が下りなかった。同館存続のためにはデジタル映写機の買い替えと工事は必須だったため、工事は強行したものの、資金繰りが悪化、さらに負債が増えた。

 今回は借り入れもできず、負債額などを支払わなければ同館の存続が危ぶまれる事態となっている。これらを打開するため、再度の支援を募る運びとなった。各種支援グッズを用意し、購入と寄付を呼びかけていく。同館は赤字基調とはいえ、採算は回復してきており、公的資金の支払い、工事関係負債の支払いを完了すれば、映画館を維持できる考えだという。

 募集金額目標は800万円、募集期間は8月31日まで。同社の専用サイトでグッズデザインなどが掲載されている。

 同館は1997年にオープン。特集上映とロードショーを2本柱に、関西屈指の上映本数で多様な映画を映し続け、2023年にはオープンから26周年を迎えた。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。