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キング、神野美伽新曲発売記念インタビュー

【FREE】キング、神野美伽新曲発売記念インタビュー

2023年06月13日
神野美伽 神野美伽

 演歌歌手の神野美伽さんがニューシングル「夜が泣いてる」(キングレコード)を6月7日に発売しました。デビュー40周年を飾る表題曲「夜が泣いてる」は、神野さんにとって66作目となる楽曲で、作詞を荒木とよひささん、作曲を岡千秋さん、編曲を猪股義周さんが手がけました。カップリングには1985年に発売された神野さんのヒット曲「男船」のセルフカバーが収録されています。

 デビュー40周年の1作目を制作するにあたり、担当ディレクターから「どんな曲を歌いたいですか?」と聞かれた神野さんは「いま演歌を歌っておきたい」という言い方で伝えたといいます。「歌いたい」ではなく「歌っておきたい」。そこにはどんな想いが込められていたのでしょうか。

 神野さんは近年、演歌にとどまらず、様々なジャンルのステージに立ってきました。たとえばニューヨークのジャズクラブで歌ったり、福島・猪苗代湖畔の音楽&アートフェス「オハラ☆ブレイク」にロックバンド「ザ・コレクターズ」のギター、古市コータローさん、同じくロックバンド「The Birthday」のドラム、クハラカズユキさんと共に出演したり、関西を中心に活動するビッグバンド「アロージャズオーケストラ」のライブにゲストボーカルとして出演したりと、その活動は多岐にわたります。

 また、韓国のヒット曲「満開」を日本語でカバーしたり、江利チエミさんの「旅立つ朝(あした)」をカバーしたりと、演歌以外の作品もリリースしてきました。

 こうした演歌以外の取り組みについて、神野さんは「トライしたいことは、まだまだたくさんあります」と話す一方、あえて今「演歌を歌っておきたかった」という背景には、神野さんが以前から抱いていた、演歌というジャンルの将来に対する危機感がありました。神野さんは、現在演歌が置かれている状況について「決して先が広がっている世界ではない、ということを皆さんも感じているのでは」と話します。

 それでも「演歌界の真ん中にいる私のような歌い手が言うのも間違っているかもしれないけれど、あえて今その演歌を歌いたい、という気持ちがすごく正直なところです。40周年という節目の年に歌手としてのけじめ、自分の人生のけじめとして演歌を歌っておきたかった」と言います。

 そして今回、新曲を作るにあたり、神野さんは「演歌を歌っておきたい」ということに加え、もう1つ「荒木とよひささんに詞を書いてもらいたい」と希望しました。

 神野さんと荒木さんは、長年夫婦の関係でした。夫婦でなくなってからも仕事をしてきましたが、ここ最近は作品がなかったそうです。「私にいろんなことを気づかせてくれて、いろんなことを教えてくれたのが、とよひさ先生」。そんな荒木さんも今年80歳。神野さんは「お互いにもう一回、一生懸命に仕事をしたっていうものを残しておきたかった」と言い、今回一緒に新曲を作った過程を「いろんな話ができて、こんな時間も久しぶりだな」と振り返りました。

 新曲「夜が泣いてる」には、男性がひとり居酒屋でお酒を飲んでいる情景が描かれています。

 こうした詞の世界は、これまで様々な演歌の作品の中で歌われてきましたが、神野さんは「とよひさ先生と組みたいという個人的な感情と、作家としてのとよひさ先生の詞を歌いたい、という願いを叶えてもらえた作品になりました。私たちが長く夫婦をしていて、そうでなくなって、今またここでもう一度あらためて組んで、何かを生もうとしている。そこには切ない感情もあるけれど、『人生って面白いな』って、やっと思えるような、そういう気持ちもある。個人的な感情といえば個人的な感情だけど、この1曲の中には、そういう、いろんな思いが込められています」。

 また「特にこの数年、いろんなジャンルの方たちとお仕事する機会が多く、いろんなことをやっているけれど、やっぱり私の中では、演歌を歌ってきたということが1番大きな個性。それがあるから、いろんな人たちといろんなことができる。その基本のような歌だと思います」と話しています。

 新曲に続いて、これまでのカバー曲を集めたカバーベストアルバム「遥歌(はるか)」を6月21日に発売します。また、8月8日に愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール、9月13日に東京・新宿文化センターで40周年記念コンサートを開催することが決定しています。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。