東宝配給、新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』が、2022年秋に公開されることが決まった。15日に東京の帝国ホテルで記者会見が行われ、新海誠監督が出席。作品の概要を語った。
今作は、災いの元となる扉を閉めていく少女・すずめの物語。扉は日本各地の廃墟に現れ、すずめは旅の青年とともに “戸締まりの旅” に出る。新海監督は、①日本列島各地をめぐる物語、②扉を開くのではなく “閉じる” 物語、③映画館に足を運ぶ理由となる作品、の3つのテーマに沿って、新作を企画した経緯を説明。まず、作品のプロモーションで各地を回る中で、「次は私の町を舞台に」と言われることが多かったことから、ロードムービーという形で各地の風景や魅力的な人々との特別な出会いを描こうと思ったこと。次に、映画の制作や仕事、恋愛など、どんなことでも始めるよりも終わらせることの方が難しいのではと思い、扉を閉じて本当に進むべき道を作る物語にしたかったこと。最後に、映画館は人間の感情移入や没入感を最も強く発揮させる場所であり、それを意識した絵作り、音作りを目指していることを述べた。
過去作『君の名は。』や『天気の子』と異なるポイントの一つとして、監督は「今回はアクションも多い。ある存在と戦う女の子」とした上で、「皆さんが想像するアクションスターによるアクションではなく、想像しなかったようなアクションになる」と大きな期待を抱かせた。企画開発はコロナ禍に入った2020年1~3月に行い、脚本は4~8月に開発。絵コンテを9月から開始し、1年以上をかけ、この12月初旬にVコンテ(動く絵コンテ)が完成したばかりだという。作画は2021年4月から開始し、現在制作中だ。すずめ役の声優は決まっておらず、オーディションもこれから行う。
会見には、『君の名は。』で声優を務めた上白石萌音と、『天気の子』の森七菜が応援に駆け付けた。さきにVコンテを鑑賞した上白石は、ネタバレを避けつつも「明けない夜はない。明るい明日を信じてみたいと思わせてくれる作品。とても勇気をもらった」と感想を述べ、森も「自分を揺るがすようなことが起きても、心と心がぶつかり合っていけば結末が待っている。自分(の背中)を押してくれる映画」と、鑑賞した人を勇気づけるストーリーであることを窺わせた。2人の今作への出演は明らかになっていないが、「七菜ちゃんと(すずめ役の)オーディションを受けようと言った」(上白石)、「どっちを選ぶ?」(森)と投げかけて監督を困らせた。
キャラクターデザインは田中将賀、作画監督は土屋堅一、美術監督は丹治匠、制作プロデュースはSTORY inc.、制作はコミックス・ウェーブ・フィルムと、スタッフは新海作品をこれまでも支えてきた陣容。監督は最後に「アニメーションは総合力」と表し、「他では見られないような力のある映画を届けたい」と自信をみなぎらせた。