閲覧中のページ:トップ > 映画ニュース >

『コーダ』が評判、業界内で要注目の作品に

【FREE】『コーダ』が評判、業界内で要注目の作品に

2021年12月17日
『コーダ あいのうた』 『コーダ あいのうた』

 ギャガが1月21日(金)に公開する映画『コーダ あいのうた』が、試写で鑑賞した人の間で評価がうなぎ上りになっている。ゴールデングローブ賞では作品賞と助演男優賞でノミネートされるなど、オスカー候補にも名乗りをあげており、公開に向けてチェックが必要な作品だ。

 アメリカの海の町を舞台にした同作は、家族の中でただ独り「健聴者」である少女ルビーが、歌の才能を見出され、著名な音楽大学への入学を目指す物語。ろう者の家族が仕事(漁業)を行う上で、唯一の健聴者である少女は通訳係として欠かせない存在であり、町に残るか、夢に突き進むか、ルビーは選択を迫られる。

 監督はシアン・ヘダー。主演はエミリア・ジョーンズ。いずれも日本での知名度は高くなく、題材も地味な印象を与えるが、試写での評判が非常に高く、宣伝担当者によると「今年1番」「最高」といった声が続々と挙がり、ある興行会社の社員に「人生を変える1本」とまで言わしめたという。素朴で仲の良い家族が、大きな決断のときを迎える様子が感動を誘うだけでなく、鑑賞した全日本ろうあ連盟の担当者から「ろう者あるあるをここまで詰め込んだ作品はない。凄い映画だ」と評価されるほど、ろう者の生活をリアルに描写したところも注目だ。ろう者の役は実際に耳の聴こえない役者が演じ、主演のエミリアは9か月間におよぶ手話の猛特訓の末、日常会話ができるほど上達した段階で現場に入ったことで、劇中でも生き生きとしたコミュニケーションが描かれている。笑いの要素もふんだんにあり、健聴者にとっては普段馴染みの薄いろう者の生活に、親しみが感じられるところも同作の優れた点だ。宣伝で打ち出している「きっと “大好きな1本” になる」というコピーも、劇中の家族の愛おしさをよく表している。

 アップル・スタジオが世界配給権を高額で獲得しており、多くの国では「アップルTV+」で配信されている。先に買い付けていたギャガのもとにも、アップルから日本の権利買い取りのオファーはあったものの、この作品の力を見込んでいるギャガは、そのまま配給・劇場公開することを決断。現時点(16日現在)で、全国200館規模での上映を想定している。

 媒体の間では「見るべき作品」として口コミが広がっており、マスコミ試写の座席の混み具合は、これまでの同社作品の中でも上位だという。プロモーション用のフックが少ない分、宣伝では口コミでの広がりを重視し、大規模な一般試写会を開催予定。また、1分40秒で感動できる予告編の見せ込みにも力を入れていく考えだ。


(C) 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。