映画実験レーベル「Cinema Lab(シネマラボ)」がこのほど発足し、参加した本広克行、押井守、小中和哉、上田慎一郎の4監督による会見が5日、スペースFS汐留で開催された。
シネマラボでは、「限られた制作予算」のみを条件とし、企画開発から脚本、キャスティング、ロケーション、演出など全てのクリエイティブを監督が自由に手掛ける作品を劇場公開していく。第1弾は本広監督の『ビューティフルドリーマー』で、11月6日(金)公開。第2弾は上田監督の『ポプラン』が決定している。また、小中監督は自身の商業デビュー作『星空の向こうの国』のセルフリメイクに挑戦していることを明かした。製作幹事はエイベックス・ピクチャーズ、プロダクション・アイジー。製作委員会は前記2社と清栄コーポレーション、ポニーキャニオン。
▼本広克行監督の話 監督会のような場で、大林(宣彦)監督や山田洋次監督が、自由に作れる撮影現場が昔はあったと言っていた。昔はATGという素晴らしい枠があったと言われ、「何とかならないか」と押井さんや小中さんと話した。何億円もかける作品と、インディーズの作品、その間が無いと、上田さんのような監督は次に行きづらいんじゃないかということもあり、このレーベルを立ち上げなきゃと思った。
▼押井守監督の話 僕はまだちゃんとしたドラマをやったことは1回もなかった。今回はそれをやろうかなと。(このレーベルは)監督の自身に対する挑戦も必要なのではないか。そう思ったらやる気が出てきた。いつもならデザイナーやCG屋さんを(最初に)探すが、今回は(出演の)女の子を探そうと。(キャスティングが)自分にとっては1番新鮮な経験になるだろうというつもりでやった。
▼小中和哉監督の話 ここにいる監督はみんな自主映画出身で、低予算で良いものを作る自負はあると思うが、(そういう形で作った場合に)公開の際に宣伝費は少ないし、十分な公開ができない悔しさも味わっている。バラバラで作っているよりは、監督同士が共同戦線を作って、レーベルを立ち上げてやらないと限界だなと感じていた。
▼上田慎一郎監督の話 本広監督に声を掛けて頂いたのは『カメラを止めるな!』の公開前。その時は商業(映画)の不自由ささえも知らなかったが、好きな映画が撮れるということで『やります』と返事した。その後、ありがたいことに商業映画の企画開発を進めると、色々な人の事情が飛び交う中で、純度を守って作るのは難しいと感じていた。今回の作品は純度の高い撮影ができたと思う。
なお、イベント後半には『ビューティフルドリーマー』出演の小川紗良、ヒロシエリ、秋元才加、飯島寛騎も登壇。細かい台詞はなく、エチュード(即興)で演じたチャレンジングな撮影現場について和気あいあいと語った。