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ニューディアー『新しい街』山村・土居氏対談

【FREE】ニューディアー『新しい街』山村・土居氏対談

2020年09月04日
山村氏(左)と土居氏がトーク 山村氏(左)と土居氏がトーク

 カナダのアニメーション映画『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』の特別試写会が2日夜、東京・新宿区のアンスティチュ・フランセ東京で行われ、アニメーション作家の山村浩二氏、配給するニューディアーの土居伸彰代表取締役がトークショーを行った。

 同作は、全編墨絵で描く異色のアニメ映画。カナダからの独立運動が起こった1995年のケベック州を舞台に、別れた夫婦の再会を描く。監督は、これが初長編作となるフェリックス・デュフール=ラペリエール。2018年のヴェネツィア国際映画祭(ヴェニス・デイズ部門)でワールドプレミア上映されたのをはじめ、世界中の映画祭で高評価を得ている。

 山村氏ははじめに「(ニューディアーが配給すると知って)勇気があるなと思った。監督は知られていないし、ケベックも文化的には日本人になじみがない。静かで大人しい印象の作品。でも、誠実に、アニメに情熱を持って作っている」と作品を評すると、配給する土居氏は「僕もこの作品で初めて監督を知った。最近の傾向として、短編で有名ではなかった人が突如として長編作品を演出して、それが世界中で広がる流れがあり、そういう人たちを紹介したいと思っている」と同作に目をつけた意図を語った。また、「この試写会もたくさんの方がいらっしゃっている。ニューディアーの系譜の中で、しっかりしたものが見られるという期待があるのでは」と山村氏が話すと、土居氏は「長編の配給は3本目。配給する基準は、どれも最初に見た時に『カッコいいな』と思うところからだった。先ほど山村さんが『勇気がある』とおっしゃったが、僕も、作家自身がこんなスタイル、こんなストーリーで見たことのないものを作るという勇気に報いたいと思っている」と、挑戦的な作品に対する敬意を口にした。さらに土居氏は、同作がヴェネツィアに出品されたことに触れ、「この映画は、実写映画との境目のところで受け入れられていて、アニメの映画祭ではあまり受け入れられていない。逆に、そこに可能性を感じている」と期待感を表した。

 9月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで公開。先着で70人に原画をプレゼントする。また、劇場限定で同作のブルーレイを初日から販売する。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。