【FREE】渋谷プロ『いつくしみふかき』会見に監督ら
2020年06月27日
渋谷プロダクション配給『いつくしみふかき』公開記念記者会見が25日(木)、新宿のDEXIスタジオで開催され、出演の渡辺いっけい、榎本桜(兼プロデューサー)、監督の大山晃一が登壇、企画・出演の遠山雄がリモートで参加した。
映画化のきっかけは、劇団チキンハート主宰の遠山の親しい知人とその父についての実話で、ひきこもりの知人が葬儀で父をかばいながらも謝罪をした姿が衝撃的だったこと。
30年前。母・加代子(平栗あつみ)が進一(遠山)を出産中に、あろうことか母の実家に盗みに入った父・広志(渡辺)。「最初から騙すつもりだったんだろ?」と銃を構える叔父を、牧師・源一郎(金田明夫)が止め、父・広志は “悪魔” として村から追い出される。進一は、自分が母が知らないものを持っているだけで、母が「取ったの?この悪い血が!」と狂うのを見て、父親は “触れてはいけない存在” として育つ。そして、30年後、進一は――。
会見で遠山は「親しい知人親子をモデルにしたが、いつか何か形にならないかと思ってとっておいた話」とし、知人を演じたことについては「普段どういうことを考えているか把握しづらいタイプだが、彼と過ごす時間があったり、撮影前後も会ったり、電話したりも可能だったので、人間観察含め、自分に落とし込んですごく時間をかけて心の方を作っていった」と語った。
同作で長編映画デビューを飾った大山監督は、「自分自身も父親といろいろあった家庭なので、初監督の題材が父親というのは避けたかったテーマだが、一度この映画をきっかけに、昔の自分と父親に向き合ってみようと思った。また、自分が父親を描く時に、簡単に肯定したくないというか、小さい頃の自分に怒られないように、安易な描き方をしたくないと、慎重に自分が思っていることを、グレーな気持ちをグレーなまま描こうと思った」と振り返った。また、4月17日より公開されるはずだったが、コロナ禍によって延期したことについては、「オンラインでの公開という選択肢もあったが、映画館で見てほしいと映画館にこだわって耐え忍んできたので、公開日朝一の回をテアトル新宿で見た時は涙が止まらなかった。大きな区切りとして、公開できて本当によかった」とこれまでの長い道のりを説明した。
19日よりテアトル新宿他全国公開中。土日平日にかかわらず、好調に推移している。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。