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『パラサイト』オスカー受賞後来日で会見

【FREE】『パラサイト』オスカー受賞後来日で会見

2020年02月26日
 第92回米アカデミー賞作品賞を含む4冠を獲得した『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督、主演ソン・ガンホが来日し、23日(日・祝)、内幸町の日本記者クラブで会見を開いた。同作関連では昨年12月以来、2度目の来日で、オスカー受賞の喜びや作品に込めた想いなどを語った。

 外国語映画で初の作品賞等、歴史的な快挙となったオスカー受賞についてポン監督は「けして最初から賞を目的に作った訳ではなく、受賞以前に韓国をはじめ、イギリス、フランス、北米で、多くの観客が熱く反応してくださり、それが何よりも嬉しい」とした他、テーマ性以上に意外性のある物語が多くの人々に届いたのではないか、世界的大ヒットを分析した。日本でも韓国映画の興行記録を塗り替えた同作であるが、ソンは「2000年代初頭には、韓国映画が日本で数多く紹介されていた」とし、「いまはそうした日韓の交流が少なくなってしまったが、本作を契機に、韓国の素晴らしい作品、日本の優れた芸術家の作品が多くの人に受け入れられ、互いの文化に対し共感を抱くようになれば嬉しい」と期待を込めた。

 作品に込めた想いについてソンは、「タイトルは『パラサイト』=寄生だが、私たちはこの社会をどう生きるべきか、どう生きればより良い世界になるのか、“寄生”ではなく“共生”を描いた映画」と説明。ポン監督は、作品テーマの【貧富の格差】について、「韓国や日本、世界中でいま、多くの人々が同じような状況に置かれ、同じ苦痛を抱き、二極化という言い方がされているが、映画の意図はそれを暴きたいというわけではなく、“未来に対する恐れ”というのがあった。未来の社会は二極化を克服しうるか、それはたやすいことではないはず。今後どうすべきか。私の持つ不安や恐れはこの時代を生きる全ての人が抱えているものだと思う」と語った。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。