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高畑勲監督回顧展、記者内覧、1000点以上展示

【FREE】高畑勲監督回顧展、記者内覧、1000点以上展示

2019年07月02日
東京国立近代美術館で「高畑勲展」 東京国立近代美術館で「高畑勲展」

 18年4月に死去したアニメーションの巨匠・高畑勲監督の初の回顧展「高畑勲展‐日本アニメーションに遺したもの‐」が、7月2日から東京国立近代美術館で開催される。その記者内覧会が1日に行われた。

 同展覧会では、アニメーションの新しい表現領域を開拓し、1960年代から半世紀にわたって日本のアニメを牽引し続けた高畑監督の演出術に着目し、1000点以上におよぶ貴重な資料を紹介しながら、その作品世界の秘密に迫る。同館でマンガ・アニメ展が行われるのは1990年の「手塚治虫展」以来2度目となる。

 全4章で構成され、第1章は、生涯にわたって共に歩むことになる仲間たちと作り上げた『太陽の王子 ホルスの大冒険』を中心とした展示。第2章では、「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」といった衣食住や日常生活を丹念に描いた作品、第3章では『じゃりン子チエ』から始まり、『火垂るの墓』や『平成狸合戦ぽんぽこ』などにいたる日本を舞台とした作品、そして第4章では、手描きの線を生かした水彩画風の表現に挑んだ『ホーホケキョ となりの山田くん』、『かぐや姫の物語』が紹介される。「アルプスの少女ハイジ」のコーナーでは、ハイジの住む家と大自然のジオラマも設置されている。時系列に沿った内容であり、高畑監督の創造の軌跡をたどることができる。

 記者発表会に登壇した加藤敬館長は「人間と生に対する深い理解と愛情に裏付けられた高畑アニメーションの息を改めて考える機会になれば幸い」と挨拶し、今回の展覧会を担当する主任研究員の鈴木勝雄氏は「高畑監督の仕事は、高畑さんお一人でできるものではない。集団制作によるアニメーション制作のプロセスの中で、高畑さんは常に同士とも言える優れたアニメーター、美術監督とともに共同作業を続け、それぞれの作品世界を丁寧に作り上げた。高畑監督と対話し、時には無理難題に応えながら、高畑監督のために作り上げた様々な制作者、描き手たちの絵の力に注目する展覧会になっている。また、もう1つ高畑演出に迫る手がかりとして主軸に据えたのが、高畑監督の『言葉』。高畑監督の遺品から18箱分の資料が見つかり、最初期から最晩年にいたる仕事の制作プロセスを伝えてくれるメモやノートがぎっしり詰まっていた。これらを描き出し、カテゴリーを作り、皆さんにわかりやすい形で展示している」と説明した。

 期間は10月6日まで。主催は東京国立近代美術館、NHK、NHKプロモーション。企画協力はスタジオジブリ。協力は徳間記念アニメーション文化財団。協賛は凸版印刷、西武造園。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。

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