【ロサンゼルス=Mutsumi Lee】
ムービーパスの転落…
昨年9月にムービーパスの記事を寄稿してから半年ちょっと、当初3万人いたユーザーの90%が解約したというニュースが…
私もその一人。解約の理由はあらゆる面で不安定なサービスであったことです。前回寄稿時は月額$10弱で観放題(1日1本まで)という内容から月3本までに減り大きな話題になっていたのですが、あっという間に再度プランの全面見直しがされ、現在は月額$19.95で1日1本の2D映画が視聴可となっています。これを年払いにすると月$9.95になるようです。
つまり年払いを条件に、最初に提供したサービスに近いプランになりました。しかしここには様々な問題があります。まず、ムービーパスは今まで半年以上同じプランを提供していません。年払いを選んで、途中でプランが変わった場合、速やかに差額返金や解約返金が保証されているのかは不透明です。
私はアプリの動作が不安定で予約が度々できなくなり、カスタマーサービスに問い合わせても何の解決にもならず解約に至りました。ムービーパスの動向は残念ですが、映画定額サービスの道を切り拓いたという意味での功績は大きいはずです。
定額サービスは映画館チェーンに軍配?
現在、米国には複数の映画定額サービスが存在します。大きく分けると映画館チェーンが提供するものと、それ以外の事業者によるものです。前者はAMCやCinemarkで、どちらも定額サービスは好調です。
私は現在AMCのサービスを利用しており非常に満足しています。月$24弱で週3本まで、IMAXや3D、リクライニング付きのシートなどスクリーンはどれでも可、同じ映画も繰り返し観れるという内容です。月2本観れば元がとれます。ムービーパスは当日予約しかできませんでしたがAMCは先の予約も可能。当たり前のようですが、こういった安定したサービスでストレスが減ることは大きな満足度に繋がります。
AMCの定額サービス会員は2018年6月にスタートし現在約70万人、そのうち10万人が今年の1~2月ゴールデングローブやアカデミーシーズンに増えたそうです。Cinemarkの定額サービスは2017年にスタートし$9で毎月1枚の映画チケット、追加チケットの割引などが受けられます。2018年末の時点で会員は56万人、2018年第4四半期にはCinemarkの興行収入の10%を占め順調に機能しています。
一方で、映画チェーン以外の定額サービスは、映画館は限定せずに、視聴本数やスクリーンの種類(IMAX、3D等)によってプラン分けをしています。ムービーパスの他にはSinemiaがありますが、動向は芳しくなく、ムービーパス同様にアプリの使い勝手やサービスの安定性にユーザーの不満が募っているようです。
ムービーパスの崩壊によってユーザが流れるかどうかも注目されていますが、現在 の定額サービス市場は、映画館チェーンに軍配が上がっている状況は間違いないでしょう。
米国は日本と違い娯楽施設へのアクセスが限られ、かつ魅力的な映画コンテンツが豊富にあるなどより定額サービスを選択しやすい環境ですが、Netflixの台頭や新作がすぐにネットで視聴できるなど映画館の生き残りの課題は共通して存在します。その中で、ユーザーを囲い込める定額サービス事業の意義は非常に大きいと言えます。