閲覧中のページ:トップ > 映画ニュース >

松竹=角川『Fukushima50』撮了、世界へ

【FREE】松竹=角川『Fukushima50』撮了、世界へ

2019年04月18日
『Fukushima 50』撮影完了会見、左から椿、渡辺、佐藤、水上の各氏 『Fukushima 50』撮影完了会見、左から椿、渡辺、佐藤、水上の各氏

 松竹=KADOKAWA配給『Fukushima50』(2020年公開)のクランクアップ会見が17日、新宿区のリーガロイヤルホテル東京で行われた。出演の佐藤浩市、渡辺謙、プロデューサー/KADOKAWA映画企画部部長の水上繁雄、プロデューサーの椿宜和の各氏が登壇した。

 東日本大震災による福島第一原発の深刻な事故発生以降も、現場に残り続けた作業員たち “Fukushima50 フクシマフィフティ” を描いている。時代の節目に、『金環蝕』『金融腐蝕列島「呪縛」』『沈まぬ太陽』という社会的テーマのある作品を製作してきた角川映画が挑む、新時代の一大巨編。

 監督は若松節朗。原作は、関係者90人以上に独自取材をした記録「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)。佐藤は福島出身で現場を指揮する熱血漢、福島第一原発1・2号機当直長の伊崎利夫役、渡辺は、福島第一原発所長・吉田昌郎役をそれぞれ演じている。

 会見で水上氏は「フクシマフィフティと呼ばれた彼らは、我々と変わらないように家族を持つ一般の方々であり、色んな想いを抱えながら作業にあたった。そういった方々の想いをドラマの中心に据えて、映画にした。大自然の脅威、人間の慢心をテーマにしている」と製作意図を話し、「海外公開も視野に入れている」と扱ったテーマがグローバルな問題であることを示した。なお、この会見の模様は、世界に向けても配信されていた。

 佐藤は、「人間は、忘れないと生きていけないこと、絶対忘れてはいけないこと、この2つを大切に生きていかなければならない。この題材は、絶対に後者」と力を込め、「もしかしたら、(事故以降)まだ何も終わっていないどころか、何も始まっていないのかもしれない。本作によって、振り返り、前を向くために何をするべきか、自分も含めて考えることができれば」と続けた。

 渡辺は「プレッシャーは非常に大きかった」と語り、「助けになったのは、吉田所長と一緒に働いていた人たちが、スタジオにお越しになっていて、テレビに映し出されていない吉田所長は、何をしていたか伺うことができたこと」とコメント。また、「未来に生きる子ども世代、孫世代が、社会にとって、原発事故がどのようなものだったのかを検証する材料にしてほしい」と願いを込めた。

 また、この日は、椿氏が撮影のために制作した、4種のセットを説明した。「中央制御室」については佐藤、「緊急対策室」については渡辺が撮影時をそれぞれ振り返った。その他、オープンセット「福島第一原発周辺の津波被害」や「福島県内の避難所」からは、傷跡・混乱をありありと感じ取ることができ、スタッフが同作に懸けた想いを垣間見せた。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。