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『麻雀』予定通り公開、監督 “作品に罪なし”

【FREE】『麻雀』予定通り公開、監督 “作品に罪なし”

2019年03月21日
『麻雀放浪記2020』の会見に出席した多田社長(左)と白石監督 『麻雀放浪記2020』の会見に出席した多田社長(左)と白石監督

 東映は20日朝、本社会議室で会見を開き、『麻雀放浪記2020』を予定通り4月5日(金)に、ノーカットで劇場公開すると発表した。

 同作は、出演者の一人であるピエール瀧が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたことを受け、公開の是非が注目されていた。出席した多田憲之代表取締役社長は「容疑が事実であれば、決して許されることではなく、大変な憤りを感じている」と瀧容疑者に対し厳しい意見を述べた上で、「劇場公開については、中止または延期、編集した上での公開、ノーカットでの公開など議論が重ねられたが結論に至らず、配給担当である弊社の判断で、4月5日にノーカットのままで公開することにした」と経緯を説明。理由については「罪を犯した一人の出演者のために、作品を待ちわびているお客様に、すでに完成した作品を公開しない選択肢は取らないという結論に至った」と述べ、「劇場での上映は有料であり、かつ鑑賞の意志を持ったお客様が来場し鑑賞するというクローズドなメディア。テレビ放映またはCMとは異なる」と、上映への理解も得られるとの考えを示した。なお、公開にあたっては、瀧容疑者が出演している旨をポスターに明示するほか、本編上映前にテロップを表示する。

 会見に同席した白石和彌監督は「作品に罪はない。公開できることはホッとしている」と心情を吐露し、昨今、出演者の不祥事で作品の公開中止などが相次いでいることを受け、「罪は罪だが、その作品がどんなテーマ、質で、出演者はどんな役割なのか、その議論なしで、一様に蓋をするのは良くないと思う。上映中止は特例であってほしい。過去作まで全て選択の余地がないのもどうなのか」と作り手の目線で業界に警鐘を鳴らした。多田社長も「マニュアル的に(中止の判断を)やることはいいのか?」と白石監督の考えに同調した。なお、白石監督は瀧容疑者に対し「男っぷりの良さに男惚れして5本(一緒に)仕事させてもらった。今は『バカ野郎』としか言いようがない」と盟友の不実に無念の表情を浮かべた。

 なお、会見の場には村松秀信取締役企画調整部長と、同作のプロジェクトリーダーである紀伊宗之企画調整部次長も出席。司会は鈴木英夫執行役員映画宣伝部長が務めた。紀伊氏は、現在も製作委員会で議論の最中であり、全社が完全に合意したわけではないことを明かした一方で、「東映としての判断に理解はして頂いた」と説明。今後、製作委員会から離脱する会社がある可能性も否定できないことから、瀧容疑者サイドに損害賠償を請求する考えもあることを述べた。また、前売券の払い戻しは対応する運び。現在51スクリーンで公開予定だが、これまでに中止を申し入れてきた劇場はないという。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。