東映配給『北の桜守』(監督滝田洋二郎)は4日午後、丸の内TOEI①で介護関係者を招待しティーチイン付上映会を開催した。当日は主演の吉永小百合と『北の桜守』の医療監修を務めた精神科医の和田秀樹氏が登壇した。
同作は、戦中、サハリンから北海道に引き上げてきた親子の感動の物語で、吉永演じる江蓮てつが認知症にかかることから介護関係者を招いてのティーチインを実施した。2人のコメントは次のとおり。
▽吉永小百合 『北の桜守』を見てくださりありがとうございます。だんだん記憶がうすらいでいく母親を演じました。最後に堺雅人さん演じる息子(修二郎)があたたかく迎え入れてくれるシーンを撮影した時は胸が一杯になったことを覚えています。認知症の介護でずっとご苦労を重ねている方、本当に大変なことがあるかもしれませんが、今日は皆様とこの映画について話ができたらと思います。認知症の役をやることができたことは俳優としてとても嬉しく感じました。実際にこのような親子だったらいいなと。中村雅俊さん演じる父親が篠原涼子さん演じる娘に歳をとったら面倒をみてもらいたいと話しているシーンは、胸にジーンときました。介護の仕事は大変だと思います。私も夫の母親が介護施設に入ってスタッフの方々にあたたかくしていただいて102歳まで生きました。皆さん大変だと思いますけれども日々気をつけて前に進んで行ってほしいと思います。
▽和田秀樹 私はさまざまなことをしていますが、1988年、老人専門の総合病院に精神科医として赴任してから老年精神医学を専門にやっています。この映画で医療監修をしたことはとても名誉なこと。滝田監督、脚本の那須真知子さんがシナリオを作る段階から協力をさせていただきました。普通、医療監修は、医療用語の間違いを直すということが多いのですが、今回認知症として矛盾があるところは指摘し直させていただいたので医学的には大きな問題はないと信じています。それに吉永さんは本当に尊敬できる方です。どういう演技をすべきかわからないことがあるとメールや電話をくださり、返事をさせていただき、なんらかのお役に立てたと信じています。これまでも『花いちもんめ』などいくつかの認知症を描いた映画はありますが、今回はとても救いのある映画だと思っていますし、本当にこの映画にかかわれて良かったと思っています。