彩プロ配給『バケツと僕!』の完成披露試写会が21日、千代田区の神楽座で開催され、出演の紘毅、徳永ゆうき、あべけん太、原作者の北島行徳、監督の石田和彦が登壇した。
第20回講談社ノンフィクション賞を受賞した、原作小説「バケツ」(文春文庫刊)が発表されたのは13年前の2005年。養護施設で働くことになった気弱な主人公と、 “バケツ” と呼ばれる軽度の知的障がいを持つ15歳の少年との友情を笑いと涙を交えて描くハートフルな人間ドラマだ。
石田監督の「今日は楽しんでください」という挨拶から始まった舞台挨拶。同作を試写ですでに観ている北島は「原作小説を発表した頃にも、映画化やドラマ化の話があったが、全て頓挫した。しかし、(主人公役の)紘毅さん、(バケツ役の)徳永さんが演じられた2人の姿を観て、13年待って良かったと、運命的なものを感じた」と大絶賛。さらに、「今の世の中はピリピリし過ぎている。もっと優しくなりなよという思いを込めた」と原作小説を執筆した頃を振り返った。
主人公役の紘毅は、「撮影が進むにつれて、障がいのある人に対する自分の中にあった壁を乗り越えていけた。その壁は自分で勝手に作ったものだった」と役づくり以上の経験が得られたことを語り、「こういう題材だからシリアスに構えていたが、石田監督からは『もっと明るく。これは楽しい映画』と演出を受けた。僕が当初思っていたよりも、3倍は明るく演じた」とした。バケツ役の徳永も「バケツは、常にぼーっとしているけれど、その中にも明るさがあると、石田監督に演出を受けた」と同作が持つ明るい雰囲気をアピール。ダウン症の当事者で、 “ダウン症のイケメン” としてタレント活動等を続けている、あべは「障がい者をもっと知ってほしい。皆さんに観て頂けることが嬉しい」と集まった観客に感謝を述べた。
同作の主題歌「虹色のファンタジー」は、シンガーソングライターの顔を持つ紘毅と、演歌歌手としても活動する徳永のユニット「ゆうきひろき」が手掛けたもの。この日2人はミニライブを行い、披露した。『バケツと僕!』は3月3日より新宿K‘s cinema他全国公開される。