松竹メディア事業部主催の特集上映「女優・倍賞千恵子」が2日から神保町シアターで始まり、6日には『水溜り』の上映後に倍賞が舞台挨拶に登壇した。当日は、平日にもかかわらず満席。朝11時のオープンを待たずに朝から長蛇の列が出来た。
『男はつらいよ』シリーズで26年間、渥美清と兄妹役を演じた倍賞だが、初めて共演したのがこの『水溜り』。倍賞は、スカートをめくりマッチの火で見せて金を稼ぐ少女、渥美はその客という役どころだったが、「実は、撮影後しばらくあの役が渥美清さんだと知らなくて、だいぶ経った後にインタビューで気づいた。最初に共演した時の印象はあまりなく、『お金をもらったおじさん』という印象」と意外なエピソードを披露。そして、『男はつらいよ』のさくら役については「今までに170本の映画に出ているが、そのうち48本が『男はつらいよ』。だいたい3分の1はさくらを演じていたことになる。『男はつらいよ』という作品自体が、私にとっての日本人の情や、人間の在り方、人がどう生きていくか、政治や世間といった色々なもの、さらに学ぶこと自体を、さくらを演じることを通して学んだ」と思い入れの深さを語った。
同館では9月29日まで開催。10月以降は大阪シネ・ヌーヴォ、横浜シネマリン、名古屋シネマスコーレでの上映が決定している。