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IDCF2017、長編最高賞はノルウェー作品

【FREE】IDCF2017、長編最高賞はノルウェー作品

2017年07月25日

 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017は最終日の23日、クロージング・セレモニーを開催し、各賞の表彰を行った。

 長編部門(国際コンペ)の最優秀作品賞は、ノルウェー作品『愛せない息子』(監督:アーリル・アンドレーセン)が獲得。ノルウェー人ヒェーテルと、彼の亡き妻が愛した養子・ダニエルの物語。ダニエルの実母を探すべくコロンビアに向かう2人。ヒェーテルは自分になつかないダニエルを返してしまうのか、亡き妻のためにも本当の父親になる決意をするのか。 “男に父性という名の愛情は生まれるのか” というテーマに向き合った意欲作だ。その他、監督賞は中国=オランダ合作のドキュメンタリー『中国のゴッホ』(ハイボー・ユウ、キキ・ティエンチー・ユウ)、審査員特別賞は市民権を得るために奮闘するアフリカ系男性を描いたハンガリー映画『市民』(ローランド・ヴラニク)、SKIPシティアワードは集団自殺をテーマにした日本映画『三尺魂』(加藤悦生)が受賞。長編部門国際審査委員長の黒沢清は、「受賞者たちは、さらに世界的な評価を高めていくだろう。彼らを発見したのは、ここ川口だと大いに誇っていいのでは」と上映作品・同映画祭のレベルの高さを称えた。

 短編部門(国内コンペ)の最優秀作品賞は、浅沼直也監督『冬が燃えたら』。北海道・網走の町を訪れた認知症の母と息子。旅行中、母の病状が次第に悪化していく。実際の事件をモチーフに、セリフを一切無くした演出で親子二人の悲劇とそこに至る愛情を大胆に表現した。その他、奨励賞に『サイレン』(三宅伸行)、『追憶ダンス』(土屋哲彦)が選ばれた。短編部門審査委員長の桝井省志は、「長編への登竜門として考えられてきた短編だが、今年の作品を見ると、ほぼプロの方々のコンペといっても差し支えない」と総括した。

 アニメーション部門(国内コンペ)の最優秀作品賞には、小川育監督『I think you're a little confused』が輝いた。血入り腸詰とその友だち、肝臓入り腸詰の独特なキャラクターを動かし、シュールでダークな世界を表現したストップモーションアニメ。その他、奨励賞に『The Interpreter』(尾角典子)、『竹田駅メモリーズ』(浜村満果)が決まった。アニメ部門審査委員長の小出正志は、「まだ若いアニメ部門。ぜひ、皆様にこの映画祭のアニメ部門を広く周知いただき、もっと沢山の作品の応募が行われるようになることを期待したい」と話した。

 最後には、コンペ全体の総括として、土川勉映画祭ディレクターが登壇し、「今年も各部門とも、それぞれの作品の力が拮抗していて、ある審査員の方が『本当に100分の1の差』と、審査会で感想を述べられたように、結果は僅差だった。選にもれた皆さんには、今後のご健闘を期待したい」とコメントした。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。