【FREE】短編国際フェスで『ダム~』のトンコハウス
2017年06月21日
6月1日にスタートした米国アカデミー賞公認の短編国際映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2017」は18日、都内会場全てのプログラムを終了した。横浜会場は25日まで。都内の最終プログラムは、「Hulu presents トンコハウスの旅2017」で、会場のiTSCOMスタジオ&ホール二子玉川ライズには、雨天にもかかわらず長蛇の列ができ、盛況な幕引きイベントとなった。
18日のイベント「トンコハウスの旅2017」では、元ピクサー所属の日本人アーティスト堤大介とロバート・コンドウが14年に設立したアニメーションスタジオ「トンコハウス」の軌跡と今後の展開について2人がプレゼンテーションを行った。
まず、トンコハウスの代表作品、2015年米国アカデミー賞短編アニメーション部門候補『ダム・キーパー』(監督:堤、ロバート)を上映した。主人公は、闇から町を守る仕事「ダム・キーパー」を任されたブタ。彼は町で嘲笑の対象だったがある日、転校生のキツネと友情が芽生える物語。
短編映画『ダム・キーパー』は、オスカー候補作品になったことを皮切りに、様々な方向にプロジェクトを派生させてきた。昨年春には展覧会を東京・銀座で開催。グラフィックノベルも刊行され、フランスやイタリアでも出版された。また、同作のテーマ“友情やイジメ”について子どもたちが話し合う場を創るべく、教育的プロジェクトにも取り組んできた。
さらに今夏より、Huluによって配信アニメーション「ピッグ‐丘の上のダム・キーパー‐」(全10話、各5分)がスタートする。このシリーズの監督を担当しているのは、ピクサー所属のエリック・オーだ。
この日来日したエリックに対して堤が、「君は近年の『インサイド・ヘッド』『ファインディング・ドリー』にアニメーターとして携わるほどの有望株だ。どうしてこの仕事を引き受けてくれたのだろう」と質問すると、エリックは、「君たち2人がピクサーを辞めた後にやってきたことに興味が尽きなかった。トンコハウスは、アジアとアメリカの文化がハイブリッドされたアニメーションを作っていて、僕が手伝えることが必ずあると思った」と返答した。ロバートは「トンコハウスの成長は、いかに他のアーティストと仕事ができるか」と話し、エリックを歓迎した。
「ピッグ‐丘の上のダム・キーパー」からは、第2話を上映した。同作は、短編映画『ダム・キーパー』が光や影のコントラストなどから立体的な世界観が表現されていることと対照的に、シンプルな線によって動きが描写されていた。エリックは、「(主人公のブタが)なぜダム・キーパーになったのか、そのルーツに関する物語を堤さん、ロバートさんは自由にやらせてくれた」と説明。制作現場を見てきた堤は「日米合作と言っても過言ではないほど、スタッフが入り混じっている」。ロバートは「現場の盛り上がりを見てジェラシーを憶えるほど」と笑顔で話した。
なお現在、堤、ロバートは、『ダム・キーパー』の長編映画化を手掛けている。20世紀フォックスとの共同制作。詳細は未発表となっている。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。