アスミック・エース配給『神様メール』のジャコ・ヴァン・ドルマル監督が来日し、12日に千代田区のベルギー王国大使館で会見が開かれた。
神様の娘エアが人間界で人々と出会い奮闘する痛快コメディ。神様は実在し、ブリュッセルに住んでいる。神様のパソコンから余命を知らせるメールが全人類に届く。エアは大パニックの世界に旅に出て人々の悩みを解決していく。16年ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞ノミネート、16年マグリット賞(ベルギー・アカデミー賞)最多主要4部門受賞、15年カンヌ国際映画祭監督週間正式出品など世界中で高い評価を得ている。
ドルマル監督の来日は7回目。コメディの構想についてドルマル監督は、「神様がいるならば、綺麗な街ではなく、常に雨が降っているブリュッセルに住んでいるだろうと思った。神様について語られる時、女性が登場することは少ない。娘がいて、妻がいるだろうと考えた。今回、女性にフォーカスをあてた為、男性が撮ったフェミニスト映画として仕上がった。余命を知らされた時、『人は何をするだろうか』という疑問を頼りに物語を作った」と明かした。また、世界中での高評価について、「僕にはヒットの訳を語ることができないが、人気レストランに皆が入りたがる現象と同じだろう」とユーモアを交え、「劇場ではどういう訳か女性の笑い声が目立つ作品だ」と続けた。
エア役は、同国出身監督のダルデンヌ兄弟『サンドラの週末』でデビューを果たした、子役ピリ・グロワーヌが演じた。名女優カトリーヌ・ドヌーヴの出演でも話題を集めている。余命5年2ヵ月17日の主婦で、ゴリラと恋に落ちるというコメディらしい役どころだ。グロワーヌについてドルマル監督は、「グロワーヌは撮影時、10歳だった。女優の素質を備え持っていて、これは年齢にかかわらず、演技で最も大事なこと。何より彼女は演技に喜びを感じて取り組める」と絶賛し、ドヌーヴについては、「ゴリラのシーンは本当に笑えた。彼女がインした日は若者とのベッドシーンだった。嫌な思いをさせないようにネグリジェの着用を促したが、『そういうものを着てセックスしたことはない』と体を張って演じてくれた」と撮影エピソードを披露した。
また同作はベルギー日本友好150周年記念作品に認定されており、当日はギュンテル・スレーワーゲン駐日ベルギー王国大使、グロワーヌと同い年の内田未来(NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」)が祝福に駆け付け、ドルマル監督に認定賞状と花束が贈呈された。5月27日よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開。