東宝映像事業部配給『亜人‐衝動‐』(劇場アニメ3部作第1部)が28日夜、第28回東京国際映画祭パノラマ部門正式出品作品として、ワールドプレミア上映された。会場のTOHOシネマズ六本木ヒルズには、多くのファンが集まった。上映後、声の出演の宮野真守、細谷佳正、櫻井孝宏、小松未可子、平川大輔、洲崎綾、総監督の瀬下寛之、監督の安藤裕章が登場。安藤監督が「本作はいかがでしたか。続編にあたるものを現在、制作中です。今日はその制作現場から駆けつけました」と挨拶すると大きな拍手が場内から起き、一層の盛り上がりを見せた。
原作は大ヒットコミック「亜人」(桜井画門/講談社「good! アフタヌーン」連載)。決して死なない新人類「亜人」と、それを追う日本国政府。両者の戦いを描くバトル・サバイヴ・アクション。
亜人であることが判明した高校生の主人公・永井圭役を演じた宮野真守は、「永井圭は死ねない身体ですが、やっぱり痛いんですよ。自分を亜人だと知った時、親から子として見てもらえなくなる瞬間、心の痛さを感じました。実験台にされる時には物理的な痛さも。役を感じて表現することを目指しているので、本作でもそうしましたが、痛さを感じながら声を入れました。また、彼のウソのないキャラクターが好きです。それゆえに少し性格が悪く見える部分があるかもしれません(笑)。リアルとファンタジーが融合されている作品になっていると思います」と役に対する想いを切実に語った。
瀬下総監督・安藤監督、アニメーション制作のポリゴン・ピクチュアズは映像化が難解と言われた「シドニアの騎士」を、新技術を駆使して描き、アニー賞、エミー賞を連続受賞するなどの高い評価を得てきた。瀬下総監督は「永井圭は死ぬことを奪われたごく普通の少年。変な話に聞こえるかもしれませんが、死ねないのに必死で生きていことする姿を描きました。新しいヒーロー像だと思います」と永井圭の役どころについて補足説明し、「プレスコという手法で音を録りました。画ができていない状態で録音し、後から全てCGで画を作っていくという手法です。声優さんには声だけではなく、カメラと対峙することで表情などの演技もして頂きました。録れた音だけを聞いた時に、ラジオドラマとして考えても、ハイクオリティのものが出来上がっていました。そこに我々は何を足すことができるのだろうと考え抜き、スタジオにとっても挑戦的な映像を作りました」と制作方法を明かした。
なお主題歌はflumpoolの「夜は眠れるかい?」(A‐Sketch)。製作は亜人管理委員会。11月27日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか2週間限定公開される。