松竹が3月1日付で発令(2月25日午後社内掲示)した映像本部の機構改革と人事異動は、業界関係者を驚かせたものである。
なにしろ社内掲示前日の2月24日午前に同社は「2011~2012ラインナップ発表会」を時事通信ホールで開催、秋元一孝執行役員をはじめ当日登壇して説明を行った全員の肩書きが変わってしまった。特に亀井威編成部映像企画室長は「秘書室長」に、という具合にである。
松竹は2月締決算であり、同社にとっては前期(平成23年2月期)の最後の仕事としてラインナップ発表会を実施したようであるが、当日出席した参加者(興行関係者及び業界通信社)にとっては何か、裏切られたような感じを与えたのではないだろうか。
今回の機構改革の主なものは、映像本部内の主要部門を網羅した「編成局」と同局内の「編成部」「映像製作部」「テレビ部」を廃止し、変わって自社製作の映画やテレビドラマなどの企画製作を一本化する「映像企画部」と映画(洋画やアニメを含む)の調達部門である「映像調整部」を新設したことである。
もともと同社では、5年前の2006年10月30日に「映像本部内収支を部門最適から全体最適」にする狙いから映像本部内各部署を横串にする「編成局」を設け、編成局長がかなりの権限を持ち、映画の一次使用(企画製作から配給・宣伝展開)から二次使用(ビデオ・DVD、テレビ、海外配給)まで展開されてきたが、この間「全体最適は達成」されずに見直しが行われ、今回の機構改革が断行されたのである。
今回新設された「映像企画部」には、「映画企画室」「テレビ企画室」そして従来の「映像製作部 新撮影所準備室」に属していた監督達の「演出グループ」が入り、「映像調整部」は「邦画調整部」「洋画調整部」「アニメ調整室」の3室で構成される。
ある業界関係者は、今回の改革について「企業は組織である前にまず人間である」と指摘しているが、果たして結果はいかに。
(代表取締役社長:指田 洋)