減少傾向の日本映画の製作本数
2011年02月18日
映連(一般社団法人日本映画製作者連盟)が去る1月27日に発表した「2010年(平成22年)全国映画概況」は最近の日本映画界の現況がうきぼりになって参考になるが、今回は日本映画の製作・配給本数について見てみたい。
平成10年以降、日本映画の製作本数は年々、増加傾向にあったが、20年に起きたリーマンショック以降ダウン。配給本数も1年から2年後にその例が顕著に表れている。平成15年以後の配給本数を見てみよう。15年=287本/16年=310本/17年=356本/18年=417本/19年=407本/20年=418本/21年=448本/22年=408本と2年前の21年にピークを迎え、昭和30年代の日本映画界全盛期にも匹敵する本数を配給したことになる。
ここ数年来の日本映画界における洋画、特にアメリカ映画に対する観客離れが顕著になったことが、結果として日本映画の製作・配給本数の増加傾向を後押しすることになったものの、ビデオ産業(映像ソフト)全体の不振と前述のリーマンショックが重なり、日本映画の製作本数は減少傾向にある。
配給本数ほど、年度別の明確なデータはないが、撮影所など関係者の話を総合すると、18年から19年にかけて年間700本の日本映画が製作されたことがある。当時、日活をはじめ東映大泉、東宝、角川大映など各社の撮影所(ステージ)は満杯状態で、キャメラなど撮影所機材が足りず、香港から調達したといったエピソードさえあったのである。この製作本数の現況を踏まえ、デジタル化とともに、東映、東宝、角川、日活の各社は大幅な撮影所のリニューアルを実施したのである。
しかし、製作本数は減ったのである。前述の通り、日本を巡る経済状況から映画ファンドを含め、製作費を出資する企業が減少、製作費が集まらずに実現しない企画も多いと聞く。東宝、東映は日本映画の配給本数を増やす傾向にあるが、撮影所の運営など今後の日本映画産業はどうなっていくのだろうか。
(代表取締役社長:指田 洋)