デジタル化で、興行者に抜本的な対策が急務!
2010年11月26日
【代表取締役社長:指田洋】:毎週金曜日更新
11月24日付の日経流通新聞に同紙が実施した第28回サービス業総合調査「興行場ランキング」が掲載されている。映画館、野球スタジアム、演劇場など“興行場”を経営する企業の年間売上ランキングである。映画興行会社では、東映(ティ・ジョイ)、ユナイテッド・シネマを除くとほぼ大手企業が網羅されており、業界の趨勢が一目瞭然である。
なかでもTOHOシネマズが、年間売上625億を計上し配給業(東宝)と同様、シェア(2000億円)の3分の1を占めた。次いでワーナー・マイカル(412億円)、松竹(松竹マルチプレックスシアターズ/353億円)といったところだが、各社とも経営状態は決して楽ではない。
ここ数年の業界の変動、フィルムからデジタルシアター、そして3D対応と各社とも通常のリニューアルに加えて多大な設備投資を強いられているのだ。しかし、デジタル機器を導入したからと言ってすべてがデジタル上映になるわけではなく、当面フィルムとデジタルと両方に対応していかなければならない。
ティ・ジョイは、ソニーが提唱するバーチャル・プリント・フィーシステムにより、比較的に安価にデジタルシネマ機器を購入、今年7月までに同社が運営する全15サイト・全スクリーンをデジタル化、TOHOシネマズも来年12月までに全スクリーンのデジタル化方針を発表している。
しかし、これは潤沢な予算を抱える企業だからこそできることで、他の企業では全スクリーンデジタル化の目途はたっていないのが現状である。
経産省は、地方都市活性化のためのデジタルシネマ機器導入助成制度を昨年度から実施しているが、これも助成はわずかであり、業界全体を巻き込んだ抜本的な対策が急務なのではないか。