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2020年公開の映画ベスト10

平池記者の「競馬ときどき映画」

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2020年公開の映画ベスト10

2021年01月02日
当ブログで毎年ひっそりと勝手に発表している「年間マイ映画ベスト10」の2020年版を発表したいと思います。良かったらご覧ください。

日本映画・外国映画別で紹介します。ランキングは個人的な好みによるものなので、(とても)偏りがあることをご了承ください。対象は、2020年(2019年12月27日~2020年12月25日)に劇場公開された作品。私が観た140本(外国映画85本/日本映画55本)の中から選びました。それではどうぞ!(ネタバレを含みますのでご注意を)


■外国映画


10位:『NETFLIX 世界征服の野望』

ネットフリックスとブロックバスターの分岐点が詳しく描かれ、そのバチバチの戦いが面白く勉強になります。10年ほど前の話が中心ですが、今まさに動画配信が急成長し、一方でビデオレンタル店の閉店が加速している日本でリアルタイムな話です。



9位:『ミッドウェイ』

アメリカが描く太平洋戦争映画としては、比較的日本側の考えも描けていた気がします。ミッドウェイ海戦の勝敗を分けた魚雷の積み直しのところがわかりにくいなど、目をつぶりたくなる場面も多いですが、弾幕に突っ込む爆撃シーンや空中戦の迫力はさすがエメリッヒで、同監督目当てで見に行った当方としては満足でした。



8位:『ヒルビリー・エレジー-郷愁の哀歌-』

貧困から抜け出せない白人一家の苦悩を描きつつ、その悪習を断ち切ろうと最期を懸けた祖母と、思いを継いだ孫になかなか熱いものを感じます。過去の描写の差し込み方も印象的でした。



7位:『彼らは生きていた』

今までモノクロで遠い世界だった第一次世界大戦ものが、カラーの映像・音・人間の証言で生々しく身近なものとして蘇る、見たことのない衝撃のドキュメンタリー。冒頭のモノクロ映像からカラーに変わる場面は感動的で、ちょっと凄い作品です。



6位:『ジョジョ・ラビット』

ユダヤ人の少女をかくまう家庭の少年を取り巻く人たちの、たくさんの愛に溢れた傑作。特に、少年を助ける大尉を演じたサム・ロックウェルが良い!『スリー・ビルボード』や『バイス』といい、今ノッてますよね。



5位:『フォードvsフェラーリ』

素晴らしいレースシーンの迫力でした。ひたすら速さを求めるケン(クリスチャン・ベイル)に痺れ、そんな男が最後に自分を曲げて友情を優先した場面には感動。20世紀スタジオには、引き続きこういう熱い男たちの映画を作ってほしいものです。



4位:『82年生まれ、キム・ジヨン』

「男は無神経で無理解」という一方的な主張ではなく、30代夫婦双方の悩みを繊細に描きつつ女性の生きづらさを炙り出す、非常に優れた作品。男性視点でも驚きの共感度です。そして、1歩を踏み出すジヨンの選択もナルホドという感じ。



3位:『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

早々に(表面的には)犯人が明らかとなりますが、いつバレるのか?畳みかけるようにハラハラと笑いと驚きの展開でノンストップの抜群に面白いエンターテイメントでした。誠実さがモノを言った結末も後味が良かった。クリス・エヴァンスが『セルラー』の時を思い出すチャラ男になり、ダニエル・クレイグも新境地を見せ、俳優陣を見るのも楽しい作品。



2位:『ランボー ラスト・ブラッド』

家族のために戦うランボーは実に個人的で新鮮でした。身体の衰えもとても人間らしい。前作『最後の戦場』から10年以上経ち、スタローンでもさすがに激しいアクションは無理だろうと思いましたが、なんと「超残酷なホームアローン」で敵を迎え撃つとは。今回も楽しませてもらいました!



1位:『TENET テネット』

1時間かけて夢の世界のルールをじっくり説明した『インセプション』から一転。ノーランの今作はほぼルール説明なく本編に突入したので難解さが際立ってしまいましたが、ルールさえ把握すればもう大丈夫。順行と逆行の人間が入り混じる凄い世界観で、何度見ても飽きない映像でした。逆行が始まり、ハイウェイから空港にいたるまでの攻防は感動ものの面白さで、謎だった色々なピースが一つ一つガチッとはまっていく展開が爽快でした。2020年の洋画でダントツです。



■日本映画



10位:『許された子どもたち』

キャッチフレーズをつけるなら“共感度ゼロの疾走感”でしょうか。見る者も加害者家族になりえるという話以上に、群像劇的に人間の嫌な部分が炙り出される救いのなさがつらいです。



9位:『劇場版おいしい給食 Final Battle』

ドラマ版は見ていなかったですが、主人公の給食を語る心の声が面白く、ライバル生徒とのバトルも馬鹿馬鹿しくて笑えます。それでいて最後は熱い共闘もあり、とても良質なコメディでした。



8位:『音楽』

ナンダ!?この胸に響く「音楽」は!確かにこれも間違いなく音楽。実写をトレースした動きのリアルさにも感心しました。そして、みんなファンになってしまうであろう「森田」のキャラクターがクセになります。



7位:『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』

アクション中心なのは少年コミック映画の王道ですが、この映画はとにかく言葉が強かった。特に煉獄が炭治郎にはっぱをかける最期は、まるでスクリーンの前にいる自分が「心を燃やせ」と勇気づけられているような力強さを感じました。



6位:『映画ドラえもん のび太の新恐竜』

映画ドラえもんシリーズには、面白くなるためにいくつかの必須要素がありますが、今作は全部網羅されていました。特に良かった点が2つ。まず、6600万年前に来たワクワク感がしっかり伝わってきたこと。それと、隕石による恐竜絶滅とのび太たちの奮闘を絡め、それを鳥の祖先に結び付けた、ドラえもんならではダイナミックなSF展開。「ドラえもん」を好きなだけでなく、なぜ面白いのかの本質を理解している人が書いた脚本で、見ていて嬉しくなってしまう作品でした。



5位:『前田建設ファンタジー営業部』

嫌になっちゃうほどテンションが高いですが、建設に関する知的好奇心を刺激し、バカなことに他社も巻き込んで熱くなる建設ヲタたちに、見ているこちらまで熱くさせられる秀作。エンドクレジッドに至るまで、作りが丁寧で細かい!



4位:『水曜日が消えた』

他の曜日の謎の行動、恋愛、そして「月曜日」の怖さなど、映画の設定の面白さにあぐらをかくことなく、104分間息をつかせぬ展開で、ドキドキと楽しさ満載の作品でした。エンドクレジットの7人のメモ書きは微笑ましくて良かったです。



3位:『ドロステのはてで僕ら』

2分後が見えるテレビと2分前が見えるテレビを合わせ鏡でさらに先まで…。『テネット』と同様、頭がこんがらがるようなお話ですが、実は未来で起きていた大変な事態に徐々に巻き込まれていき、何も知らずに呑気にしている過去の主人公たちの姿が面白い、凝りに凝った緻密な作品。ずっと驚きながら70分楽しめます。



2位:『罪の声』

深淵に潜んだ事件の真相を少しずつ炙り出す様を、豪華な俳優たちの演技・画・物語とも圧倒的な密度で描き、マスコミの報道姿勢まで問う大傑作。2時間半近い尺の映画ですが、全く長さを感じません。しかし小栗旬は良い俳優になりましたね。個人的には彼の代表作になったと思います。



1位:『なぜ君は総理大臣になれないのか』

この作品は、小川淳也という被写体に目をつけ、17年間追い続けた大島新監督のカンと執念の勝利です。実直な男が、我々の政治への疑問に答え、政治不信への想いを乗せて戦い、壁にぶつかる姿を映します。「無所属の方が格好いいよな」とボヤく場面は、この映画の良いところを象徴しており、とても共感できました。小さかった子供たちが、いつの間にか父親の選挙活動に参加する…。ドキュメンタリー映画は、時間をかければかけるほど良い作品になりますね。選挙で接戦の末に敗れるクライマックスは悔しさが滲み出ていて、こちらも無念な思いになってしまいました。


以上が私の外国映画・日本映画別の2020年ベスト10です。総合では『なぜ君は総理大臣になれないのか』を1位に推します。

なお、このランキングには入れられなかったものの、大好きな作品がまだまだありますので下記します。合わせてご覧ください。


外国映画
『Away』
『ANNA/アナ』
『凱里ブルース』
『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』
『黒い司法 0%からの奇跡』
『THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~』
『ザ・プロム』
『シカゴ7裁判』
『ジュディ 虹の彼方に』
『パラサイト 半地下の家族』
『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
『ブラック アンド ブルー』
『ブラッドショット』
『プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵』
『プレーム兄貴、王になる』
『ボルケーノ・パーク』
『無垢なる証人』
『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』
『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』
『レ・ミゼラブル』

日本映画
『浅田家!』
『アルプススタンドのはしの方』
『犬鳴村』
『男はつらいよ お帰り 寅さん』
『グラフィティ・グラフィティ!』
『劇場版ごん GON, THE LITTLE FOX』
『37セカンズ』
『侍の名のもとに~野球日本代表 侍ジャパンの800日~』
『タネは誰のもの』
『燕 Yan』
『BURN THE WITCH』
『初恋』
『Fukushima50』
『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』
『弱虫ペダル』
『ワンダーウォール 劇場版』

お付き合いありがとうございました。

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