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【Vol.67】本格的な食事が楽しめる新スタイルの映画館

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.67】本格的な食事が楽しめる新スタイルの映画館

2016年03月17日
 ユナイテッド・シネマキャナルシティ13(福岡市)の7番スクリーンが、映画を鑑賞しながら本格的な食事を楽しめる「プレミアム・ダイニング・シネマ」として4月23日にリニューアルオープンすることになった。日本初の新スタイルの映画館として、注目を集めること必至だ。

 シネコンで食べるものといえば、ポップコーンやホットドッグがすぐに思い浮かぶ。しかし、このUCキャナルのプレミアム・ダイニング・シネマで提供するのは、ナイフやフォークを使うような本格的な洋食メニュー。観客はメインディッシュ、サラダ、デザート、アルコールドリンクなどを注文できる。

 幕間のうちに専任のスタッフが、オーダーの聞き取り、調理、サーブまで行う想定だ。料理の素材は、ロイヤルホスト等のレストラン運営で知られるロイヤルグループから提供される。

 座席は、カジュアルシート(46席)とラグジュアリーシート(12席)の2種類を導入。その名のとおり、ラグジュアリーシートの方がグレードが上で、料金も未定ながら、こちらの方が高くなる見込みだ。オープニング作品は未定だが、番組編成の方針としては、20代以上のカップルを意識した作品を組んでいく。

 多くの映画館がマナーCMで「鑑賞中のおしゃべりはお断り」といった文言を流しているが、プレミアム・ダイニング・シネマでは会話を交わしても問題ない。

 プレミアム・ダイニング・シネマは日本では初めての新サービスだが、世界的には100以上の劇場で導入されているという。カップルでの利用を想定しているが、もちろん一人での利用もOK。ただし、隣に赤の他人が座る可能性も当然ある。

 UCキャナルにはIMAXシアター、4DXシアターがすでにあり、このプレミアム・ダイニング・シネマが3つめの特別シアターとなる。特別シアターは大きな売りになる一方で、番組編成の幅を狭めてしまうという側面も併せ持つ。その点、UCキャナルは13スクリーンあるため、残る10スクリーンで通常の番組編成ができるので、その心配はあまりしなくていいだろう。

 プレミアム・ダイニング・シネマでは、どんな時間が流れるのか。一度足を運んで、体験してみたいものだ。そしてUCで2カ所目、3カ所目と増えていくのか。お客に喜ばれ、商売になるサービスであれば、他社が追随することも考えられる。

 また、これまで映画鑑賞の前や後に食事をしていたカップルは、プレミアム・ダイニング・シネマで映画と食事を同時に楽しんだ場合、そこで生まれた新たな時間に何をするのか。プレミアム・ダイニング・シネマの普及が、時間消費のあり方に変化をもたらすことも将来的にはあるかもしれない。




松本 貴則 月刊文化通信ジャーナル編集長 兼 映画部デスク

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げる。2011年から映画部デスク。2014年から月刊文化通信ジャーナル編集長を兼務。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。





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