【Vol.66】ティ・ジョイが横浜と品川にIMAX導入
2016年03月09日
前回の更新から早1カ月。その前回に書いたショウゲートが、またしてもヒットを出した。2月27日に公開した『黒崎くんの言いなりになんてならない』が好調である。また、『ガールズ&パンツァー 劇場版』の4DX版が全国各地で完売が続出している。ひとまずの続報。
さて、ティ・ジョイが横浜と品川にIMAXシアターを導入することを発表した。いずれも今年の夏興行をメドに導入するという。
横浜とは、JR桜木町駅前の横浜ブルク13のこと。現時点で最多488席のキャパを持つシアター7を改装して導入する。
一方の品川は、4月1日からティ・ジョイとプリンスホテルの共同経営に切り替わる品川プリンスシネマ。館名は同日からT・ジョイPRINCE品川に変更され、この中のシアターZERO(現273席)がIMAXシアターになる。知っている方も多いだろうが、シアターZEROはかつてのIMAXシアター。品川にIMAXが復活することになった。
ティ・ジョイがIMAXを導入するのは初めてである。おさらいすると、2015年末時点で国内のIMAXシアターの数は22。興行会社別でみると、東急レクリエーションが9、ユナイテッド・シネマが6、佐々木興業が3、TOHOシネマズが2、ヒューマックスシネマが1、フューレックが1。
このうちTOHOシネマズは、昨年11月にIMAX社と11館まで拡大導入する契約を締結。新宿と二条に導入済みで、この初夏オープンの仙台への導入を発表している。
では、なぜティ・ジョイがIMAX導入に踏み切ったのか。デジタル化をはじめ、業界の先陣を切って様々なことに挑んできたティ・ジョイだったが、IMAXや4Dといったプレミアムシアターにはやや距離を置いている印象があった。
昨年は、IMAXシアターが潤った年だった。夏の『ジュラシック・ワールド』、冬の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は顕著で、全国興収に占めるIMAXのシェアが非常に高かった。稼働率が低い作品もあるが、ピタッとはまると驚くほど大きな数字を稼ぎ出すのがIMAXの力である。昨年来のIMAXシアターの好調ぶりが、ティ・ジョイの背中を押したのかもしれない。今後のラインナップを見た時に、IMAXで鑑賞するに値する作品が多いと判断したのかもしれない。
IMAXはやはりローカルよりも都市部の成績が良いのだが、横浜や品川は申し分ない。サイト全体のスクリーン数も横浜が13、品川が11と多いため、番組編成の幅をそれほど狭めないで済む。
また首都圏では今後、新館オープンや既存館の活性化でIMAX導入の話が出てくるだろうが、IMAXシアターに原則どおり同一商圏への立地制限があるとすれば、他社の機先を制することにもなる。
以上のことは推測に過ぎないが、この段階でティ・ジョイがIMAX導入を決めたのは、大きな意味があるように感じている。
それに、横浜と品川に続いて他サイトへの導入もあるのか。この点も、注目である。
松本 貴則 月刊文化通信ジャーナル編集長 兼 映画部デスク
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げる。2011年から映画部デスク。2014年から月刊文化通信ジャーナル編集長を兼務。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。