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【Vol.60】東京・調布にイオンがシネコン

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.60】東京・調布にイオンがシネコン

2015年01月27日
 イオンエンターテイメントが、京王線の調布駅前(東京都調布市)の再開発エリアにシネコンを新規出店することが明らかになった。京王電鉄が発表したもので、オープンは2017年度を予定している。イオンに問い合わせると、かなり先の案件なので、このタイミングでのリリースはしない。導入する設備などが固まり、しかるべき時期に情報発信するということだった。

 イオンが調布にシネコンを作ることについては、色々な切り口がある。一つは、新宿との兼ね合い。ネットで検索すると、新宿から調布まで特急で乗車時間16分、急行で25分。かなり近いことが分かる。1997年、小田急沿線の新百合ヶ丘にワーナー・マイカルができた時も新宿へのインパクトは大きかったが、乗車時間だけでみれば調布の方が近い。

 東京近郊に続々と誕生したシネコンの影響で、都心部にあったいわゆる既存館は閉館を余儀なくされた。新宿も、その一つ。ところが最近は、新宿の興行が急速に盛り上がっている。新宿ピカデリー、新宿バルト9の2大シネコンは勿論、新宿のミニシアター群も力強い。今年4月にはTOHOシネマズが歌舞伎町にシネコンを出店し、どう新宿のマーケットが変わるのかが目下の関心事だが、数年先ながら新宿に影響を与えうる場所にイオンが出店することになったのだ。

 別の見方をしてみる。イオンの出店は、イオングループと二人三脚が基本。イオングループのショッピングセンター内が主流だった。現在80サイトあるが、グループ内はその9割ほどを占める。一方で、同社はいい物件があれば、グループ外にも出店していくという姿勢は以前からあった。現状グループ外といえば、港北ニュータウン、多摩センター、東北地方の数劇場などが該当する。

 イオンのシネコンは、東京23区では板橋のみ。板橋は池袋から近く、同社の中でもトップクラスの興行成績をあげている。この貢献度は別にして、同社はもっと都心寄りに「フラッグシップ」となりうる劇場を作りたいという思いを長く持ち続けている。そのためには外に出て、他社案件でも積極的に手を挙げていかなければならない。今回の調布は都心部ではないものの、かなり魅力的な条件を持った物件を獲得したといえるのではないだろうか。

 調布には現在、映画館はゼロ。しかし、周囲を見渡せば、競合館は当然ながらある。どんな番組編成をするのか。どんな設備やサービスを導入するのか。戦いは、すでに始まっている。




松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 月刊文化通信ジャーナル編集長

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げる。2011年から映画部デスク。2014年から月刊文化通信ジャーナル編集長を兼務。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。




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