【Vol.56】109シネマズMM横浜が閉館、変わる興行地図
2014年11月13日
109シネマズMM横浜が、2015年1月25日(日)をもって閉館することが決まった。同館は2004年11月にオープン。東急レクリエーション、相鉄ローゼン、松竹マルチプレックスシアターズの3社共同経営により、約10年間にわたって営業してきた。最盛期には年間動員で100万人を優に超え、2010年3月に横浜ブルク13が開業した後も安定した成績を維持し、昨年2013年も動員80万人を達成している。
そんな同館がなぜ閉館するのか。それは、定期建物賃貸借契約の期間が満了するため。同館は、みなとみらい線新高島駅からすぐの場所にある商業施設GENTO YOKOHAMAに入居する。同館のほかにタイトーのアミューズメント店やコンビニ、ファミレスなどの飲食店があり、同じ敷地内にハウスウェディング会場もある。
この土地は横浜市が所有。三菱地所と東急不動産が土地を賃借し、建物を建設。そこに各テナントが入居している。横浜市との賃貸借契約が10年間限定のもので、1年だけ延長し、現在に至る。来年1月25日にGENTO YOKOHAMA全体が営業を終了し、間もなく解体工事に入ることになりそうだ。
ここで最大の関心事は、109シネマズMM横浜を利用していたお客が、どこに流れるかということ。同館へのアクセス手段では、JR横浜駅東口から7分ほどかけて歩いてくる人が非常に多いとのこと。
同館の幹事会社であった東急レクリエーションとしては、自社で経営する横浜駅西口のムービルにそのままシフトしたい。一方で、当然ながら他の劇場も、この80万人という大きな市場を取り込もうとする。MM地区には、桜木町駅前の「横浜ブルク13」(ティ・ジョイ、松竹マルチプレックスシアターズ、東急レクリエーションの3社共同経営)と、桜木町駅から徒歩10分、みなとみらい線みなとみらい・馬車道両駅から徒歩5分の「イオンシネマみなとみらい」の2つがある。横浜市内には、ほかにも映画館は多数ある。
ここを動員底上げのチャンスと捉え、大型の設備投資を検討している劇場もあると聞いた。果たして、お客はどのような動きを見せるのか。横浜ブルク13のオープンから5年、横浜の映画興行マーケットが再び大きく変貌を遂げることになりそうだ。
松本 貴則(まつもと・たかのり) 映画部デスク 兼 サイト事業部所属
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。