【Vol.53】ローソン傘下、UCの新たな経営陣
2014年10月01日
ローソンの傘下に入ったユナイテッド・シネマ(UC)では、新たな経営陣が決定した。UCは8月28日付で、ローソンが全額出資するローソンHMVエンタテイメントの子会社になったが、それから約1カ月、9月26日に臨時株主総会と取締役会で役員選任を行い、ローソン側の方々が名を連ねることになった。
新社長には、渡辺章仁氏が就いた。渡辺氏はローソンの執行役員で、エンタテイメント・サービス本部の副本部長とマーケティング統括本部の本部長補佐を兼務している。
新設の会長職は坂本健氏。坂本氏はローソンHMVエンタテイメントの社長。UC新体制においては会長の坂本氏、社長の渡辺氏の両名が代表権を持つ。
他の取締役の肩書きをみてみると、いずれも、ローソンのエンタテイメント・サービス本部、あるいはローソンHMVエンタテイメントに所属している。ローソングループでは組織として、本体と子会社の両方でエンタメ事業を手掛けていることがわかる。
一方で、UCの従来の役員はどうなったか。旧親会社アドバンテッジパートナーズからの非常勤役員は、当然ながら全員が退任。常勤の役員は4人いたが、武藤芳彦社長は25日付で辞任し、完全にUCを去った。アドバンテッジパートナーズ経由でUCを経営支援していたリヴァンプ、そこからUCの役員を務めていた斎藤武一郎常務は退任したものの、どうやら社長補佐として残るようだ。内木真哉常務と豊増貴久取締役は留任した。
ところで、今回の役員人事の重要点の一つは、市川修平氏の取締役新任だと思っている。市川氏は確かUCが誕生する以前、UCIジャパン時代から在籍し、劇場勤務も長い。本社勤務となってからは人事総務部長などを歴任し、近年は営業部長を務めてきた。昨年11月には執行役員に就任し、この9月に取締役となった。株主が何回も変更されてきたUCにおいて、市川氏は株主とは無関係の立場にあり、現場のこと、本社のこと、UCの歴史の大部分も知っている。そうした人物が取締役になったことは、色々な面で大きな意味を持つことだろう。
ローソンによる買収が発表されてから約2カ月。この件について歓迎する声は、社内でも社外でも多いように感じている。今後の新たな動きとしては、12月に豊洲への4DX導入、来年春に恵比寿のミニシアター復活、その他、内部でも様々な動きが出てくるだろう。今回の役員人事はその第一歩。さあ、ここからが始まりだ。
松本 貴則(まつもと・たかのり) 映画部デスク 兼 サイト事業部所属
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。