【Vol.47】『呪怨』ヒットの立役者
2014年07月31日
前々回に書いた『呪怨 終わりの始まり』が、その後も好調に稼働して今週末にも興収5億円を超える見込みとなった。予算を見事にクリアし、関係者の皆さんの喜びは大きいことだろうと思う。
同作は6月28日より122館で公開。2日間で8500万円を上げて、初登場6位。2週目以降の落ちが緩やかで、高いスクリーンアベレージを維持した。夏休み映画が続々と公開されたが好調を続け、4週目週末(7月20日現在)には興収4億円に乗せ、いよいよ5億円に手が届くところまで来た。
このシリーズは1999年の『呪怨』(ビデオ版)からスタート。以来15年が経過しているが、今回改めてシリーズの強さを見せつけた格好だ。10代中心の客層から、このシリーズの定着ぶりがうかがえる。この間、ハリウッドで映画化されるなど海外にも人気が拡大。『呪怨 終わりの始まり』は7月に台湾と韓国でも公開され、ともにヒットを記録した。今後も14カ国で公開が決まっているという。
さて、『呪怨 終わりの始まり』はショウゲートの配給作品。ただし、宣伝はプレシディオに委託し、宣伝プロデューサーをプレシディオ宣伝部の南野修一部長が務めた。ここが、この映画の配給における「肝」だったのではないだろうか。
プレシディオは多彩な作品をこれまで配給してきたが、得意とするジャンルがある。その一つがホラーだ。米映画『パラノーマル・アクティビティ』シリーズの第1作をヒットさせたのは有名だ。ショウゲートとは人的なつながりもあり、過去にショウゲート配給の数作品の宣伝を受託し、それぞれに結果を出した。ホラー映画では、『インシディアス』を成功に導いている。
『呪怨 終わりの始まり』の公開に向けて、ショウゲート社内では宣伝態勢を組めない中で、宣伝の委託先として選ばれたのがプレシディオだった。これまでの経験値を大いに活かした宣伝展開が、見事にはまった。
この映画の成功には、南野氏率いるプレシディオ宣伝チームの活躍があったことを、ここにしっかりと記しておきたい。
松本 貴則(まつもと・たかのり) 映画部デスク 兼 サイト事業部所属
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。