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【Vol.40】ミラノ、ルーブル閉館と菅野社長の方針

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.40】ミラノ、ルーブル閉館と菅野社長の方針

2014年05月16日
 東急レクリエーションが13日、新宿ミラノ1・2・3、シネマスクエアとうきゅう、丸の内ルーブルの閉館を発表した。最終営業日は、新宿の4館が12月31日、ルーブルが8月3日を予定している。

 ビッグニュースである。しかし、一方で、この閉館の方向性はすでに定まっており、あとは、具体的にいつ閉館し、その発表をいつ行うのかに、業界内の関心は移っていた。

 発表に至ったということは、次のステップに向けて一定のメドが立ったということだろう。それは、同日発表した新しい経営ビジョンや組織変更、人事異動を読み込むと見えてくるかもしれない。

 この新たな経営ビジョン「エンターテイメント ライフをデザインする企業へ」には、3月末に就任した菅野信三新社長の考えが色濃く反映されている。「変革への挑戦」をスローガンに掲げ、従来のビジネスモデルにとらわれない柔軟な姿勢で、次なる成長エンジンを創造するとしている。

 中核3事業についてはどうか。同社の屋台骨といえる「不動産事業」は、ビル賃貸事業の拡大強化を目指す。想像するに、4月に東急電鉄からの出向で入社した大和田芳弘執行役員がその中心になるのではないか。

 また、従来のスポーツ・レジャー事業に代わって「ライフ・デザイン事業」を新設した。スポーツ・レジャー事業、ランキン事業、ホテル事業を統合したもの。健康、女性、シニアに関する事業、顧客のこだわりを実現できる事業などを創出するとしており、上記の経営ビジョンとどのようにリンクするのか、気になるところだ。

 そして「映像事業」では、3点を挙げた。簡単にまとめると、ロードショー館を閉鎖し、シネコンに完全移行する。コンテンツ領域に進出する。渋谷にフラッグシップとなるシネコンを開業する。

 ロードショー館はミラノ、ルーブルの閉館でゼロになる。チェーンのあり方を含めて、これらの映画館が業界でこれまで果たしてきた役割を考えると、閉館には悲哀などの感情を伴うものだろうが、一方で、同社の映像事業全体としてみた場合は赤字事業所がなくなるわけであり、財務体質が劇的に改善するのは間違いない。

 コンテンツ領域への進出といえば、映画への出資も含まれていよう。これまでも自社系列で上映する作品の製作に一部乗る形はあったが、これがどのように広がっていくのか。

 また、渋谷にシネコンを作ると、新ためて宣伝した意味は大きい。菅野社長は東急レクに入社した7年前当時から、「パンテオン」という館名の復活を含め、渋谷にシネコンを作ることに並々ならぬ意欲を持っていた。実現化に向けた道筋を示してほしい。

 映像事業部の人事では、久保正則映像事業部副事業部長が執行役員に昇格した。この人事は、今後のポイントの一つになりそう。

 ミラノとルーブルの閉館は、一つの時代の終わりであると同時に、新たな時代の始まりでもある。同社が変わっていく様をしっかりと見ていきたい。




松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。





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