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【Vol.38】平和島に都内初の4DX、上々のスタート

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.38】平和島に都内初の4DX、上々のスタート

2014年04月30日
 映画館は昨今、「体感型」がキーワードだ。「映画館でしか味わえない楽しみ」をいかに提供できるかが、重要なポイントとなる。

  「体感型」をもたらす装置の一つとして、いま注目を集めているのが「4DX」。映画のシーンに連動して、座席が可動・振動する。さらに、シーンに合わせて雨を降らせたり、風を吹かせたり、匂いを出したりといった演出。観客はこれらの効果によって映画の世界に入り込み、まさに登場人物と一体化できるという仕組みだ。

  4月25日に国内で3番目、4番目の4DXがオープンした。コロナが中川(名古屋市)、小倉(北九州市)に次ぐ3カ所目を福山コロナ(広島県福山市)に、一方、佐々木興業が初の4DXをシネマサンシャイン平和島(東京都大田区)にオープンした。前日の24日、平和島の4DXシアター(シネマ2、128席)のお披露目に足を運んだ。

  内覧会の実施回数は、全部で4回。マスコミ向けに1回、業界関係者向けに3回。配給や広告代理店、設備関係などの取引先だけでなく、いわばライバル関係にある興行会社にも呼びかけ、当日は多数の興行関係者が訪れていた。

  さて、週明けの月曜日(28日)、佐々木興業の佐々木伸一社長、佐々木武彦専務に話を聞く機会があった。4DXのオープニングの状況を尋ねたところ、上々のスタートを切ったそうだ。上映作品は『アメイジング・スパイダーマン2』の4DX版(3D字幕、3D吹替)。連日5回上映し、初日の金曜日は稼働率が約6割、土曜日は全回が完売。日曜日は最終回(23時05分スタート)で若干残ったが4回が完売。月曜日も8割ほど見込めるとのことだった。

  観客へのアンケートによると、好評な声が圧倒的に多いとのこと。利用するには通常の鑑賞料金に別途1000円がかかるが、満足度も非常に高い。また、内覧会に参加した業界関係者からも、評価する声が多数寄せられたという。

  また、地上波各局のニュース、ワイドショーをはじめ、マスコミ各媒体でも大いに露出した。「都内初」という切り口は、取材者サイドにとっても取り上げやすかったと分析する。4DX導入には大きな費用がかかったが、一方で、プロモーションの予算はそれほど大きくなかった。そんな中で、非常に効果的なパブリシティが得られた格好だ。

  4DXシアターと同時に平和島にオープンしたのが「アメイジング・サウンドシアター」(シネマ1)。従来からの立体音響システムimm soundに、ドルビーアトモスの音響システムを追加したもので、こちらでも『アメイジング・スパイダーマン2』(3D字幕)を上映している。4DXシアターのようなスタートダッシュではないが、今後の集客力が期待されている。

  平和島の梨本浩司支配人は内覧会の挨拶で、『アメイジング・スパイダーマン2』(4DXシアター+アメイジング・サウンドシアター)で日本一の興収を上げたいと宣言していた。実際のところ、オープニング興収は残念ながら1位ではなかったが、10番台に入り、従来のランキングからは大幅にジャンプアップ。同社の池袋をも上回っている。

  この勢いをどれだけ続けていけるのか。リピーターをどれだけ獲得できるのか。しばらく目が離せない状況が続く。



松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。




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