【Vol.27】スクリーン増加、今年も続くのか
2014年01月16日
今年も「映画興行」に関する様々なことを書いていきます。よろしくお願いします。
2013年の映画業界を数字で振り返ると、年間の興収は「前年並み」という声が色んなところで聞こえてくる。TOHOシネマズが先日発表したところによると、東宝グループの映画館(TOHOシネマズ・北海道東宝・関西共栄興行の3社、590スクリーン)の興収は前年比98.7%を記録。他の興行会社にも何社か聞いてみたところ、ある会社は99.9%と回答。別の会社は102.7%との答えだった。
関東地区のシネコン個別でみると、新宿ピカデリーが103.9%、TOHOシネマズ渋谷が105.9%、チネチッタが99.6%。劇場名は伏せるが、千葉県のあるシネコンは102.8%だった。
こうしてみてみると、「前年並み」という言葉は、ある程度肯けると思う。
全国の映画館数はどうか。昨年11月末の「映画の日」での発表によると、前年より30スクリーンほど増えて、昨末時点で3320スクリーン前後になるとの見通しだった。私の調べがついたのは、オープンが98スクリーン、クローズが47スクリーンで、差し引き51スクリーンのプラス。把握しきれていない閉館が、おそらく20前後ある。
いずれにしろ、2013年に全国のスクリーン数が増加したのは間違いない。
こうした興収やスクリーン数の動向も含めた2013年の映画界の概況が、1月28日の映連発表で明らかになる。
さて、スクリーン数に関して注目なのは、2011年、2012年と2年連続マイナスから転じて、2013年はプラスになったということ。このスクリーンの増加は、今年以降も続くのだろうか。
今年のシネコン新規出店は、現時点で、前年と同水準の10サイト程度はありそう。一方、閉館の予定は都内や西日本から聞こえてきたが、今の時点ではそれほど大きな数字ではない。デジタル化を終えていない映画館が全国に数%あるが、これらの映画館の判断も気になるところ。日本にシネコンができて20年が過ぎて、施設の老朽化、競合による収益悪化、賃貸借契約の満了などの理由で、シネコンが閉館するケースも今後出てくる可能性もあるだろう。
スクリーン数の増減と市場規模の拡大・縮小。両睨みで、注目している。
松本 貴則(まつもと・たかのり) 映画部デスク 兼 サイト事業部所属
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。