先週末の東西金杯は、まさに今の日本競馬界の構図を表したような面白い結果。勝ち馬の調教師は池江泰寿、角居勝彦。父親はステイゴールド、ディープインパクト。騎手は両方とも外国人。生産者は両方とも社台ファーム。「今年もこのメンバーが競馬界を牽引していきます」という表明のようにも見えました。
さて、その日本競馬界を昨年盛り上げた馬たちを表彰する「JRA賞」が発表され、年度代表馬にはロードカナロアが選出されました。短距離馬としては、タイキシャトル以来15年ぶりの快挙です。
オルフェーヴルとどちらが獲得するか?という注目もありましたが、まあ実績的にカナロアが断然なので、順当な結果と言えるでしょう。
個人的に、次に興味があるのが、果たしてカナロアは「殿堂入りするのか?」という点。
毎年4月に選出される「顕彰馬」(殿堂入り)。これまでに計17頭しか選ばれていない、非常に名誉ある冠です。その中にはディープインパクトやオグリキャップのような「超」が付く歴史的名馬が名を連ねています。
選出方法は、権利を持つ競馬記者が、毎年2頭まで選べるもので、投票者の4分の3の支持を得られれば殿堂入りが決定します。ちなみに、初めて凱旋門賞で2着(99年)に健闘したエルコンドルパサーが、毎年あとちょっとのところで殿堂入りを逃しているのが特徴。
対象は、現役を引退してから1年以上、20年以内の馬。
というわけで、引退したばかりのロードカナロアが対象となるのは2015年から。しかし、オルフェーヴルも同時期です。2015年はほとんどの記者がオルフェーヴルに1票を投じるはずで、同馬の選出はほぼ間違いないでしょう。
興味深いのは、記者が持つ「もう1票」です。果たしてロードカナロアは、根強いエルコンドルパサーへの票をもぎ取り、殿堂入りすることができるのか。G1は驚異の6勝。世界でも最もハイレベルな香港スプリントを連覇したこと、17戦11勝、2着5回、3着1回、4着以下なし、というパーフェクトな戦績は、これまでの殿堂馬と比べても遜色ないものです。
もしオルフェがいなければ、おそらくカナロアは受賞できるはず。ただ、2015年に限ってはなかなか難しそうです。なにせ、同じG1を6勝したブエナビスタでも、昨年はエルコンドルパサーの票を下回りました(エルコンが119票、ブエナは90票)。「初めて凱旋門で2着」のブランドは相当強いらしく、エルコンドルパサーの壁は分厚そうです。G1が増産された今は、以前ほどG1の勝ち数が重視されていない気もしますし。
果たして、記者たちはエルコンドルパサーとロードカナロアのどちらを上と見るのか。来年4月の結果発表を待ちましょう。ただ、今年エルコンドルパサーが念願の殿堂入りを果たせば、2015年に一挙オルフェーヴル&ロードカナロア選出が実現するかもしれません。