今年、韓国と台湾から同じような題材の恋愛映画が日本にやって来ました。韓国からは『建築学概論』、台湾からは『あの頃、君を追いかけた』。両方とも、主人公カップルは90年代に学生時代を送り、甘くて苦い恋愛を経験し、10数年経った現在で再会…という物語。
どちらも本国では大ヒット。そして日本でも好成績を収めていることを見ると、アジアの男女の琴線に触れる作品だったようです。
私も、『建築学概論』に続き、ようやく先日『あの頃―』を観ました。う~ん秀作。
(以下、ネタバレ含みます)
『建築学概論』は、冴えない男子スンミンと、評判の美女ソヨンの恋愛。美女が普通の男子にアプローチ・・・なんとなく、男子の妄想が先行した物語でありながら、彼女とうまくいかず、悩んでいるスンミンの姿は自分の過去とも重なるところがあり、「妄想」と「実体験」のバランス良い融合を心地よく感じた作品でした。
結局、勘違いから2人は疎遠になり、「現在」で再会。建築家として成功し、婚約者もいて前途洋々のスンミンと、離婚を経験し、親の介護に追われて学生時代のキラキラが消えてしまったソヨン。「勘違い」は解けたものの、取り戻せない過去と、逆転した立場に、切なさが強く残りました。
一方の『あの頃―』。こちらは、イケメンで明るい人気者コートンと、優等生美女チアイーの恋愛。「中学の時イケてなかった芸人」に共感している私にとって、コートンは真逆の存在。ちょっといけ好かない感じでした。
ただ、この作品はコートンとチアイーが違う大学に進み、離れてしまってからが秀逸。男子はいつまでも変わらず、過去を引きずる生き物。一方で、女子はどんどん前に進み、男子にとっていつの間にか遠い存在になっているもの。その「いつの間にか」「知らないうちに」遠くなってしまっている描写に強く共感し、この作品でも爽やかな切なさが後に残りました。日本人は、こちらの作品の方が「あるある」が多いのではと思います。
どちらの作品も、感動、懐かしさ、苦み、といった感情が渦巻いて、これが「青春の甘酸っぱさ」と言うんでしょうね。時代背景を踏まえると、ぜひ男性の30~40代に観てもらいたい映画です。