秋華賞は武幸四郎騎手騎乗のメイショウマンボが快勝。私は直前にマンボからティアーモに本命を替えてしまい、残念な結果でした。
しかし、武幸四郎というのは不思議な存在感のあるジョッキーだと思います。
失礼を承知で言えば、他の一流騎手と比べ、特別どこか秀でた技術や才能を感じたことはありません。リーディング争いでも、最近は上位を争うようなポジションにはいません。堅調な成績を上げているものの、どちらかと言えば普段はあまり存在感のない騎手です。
ただ、他の中堅騎手とは違い、幸四郎騎手の場合、数年に1回どデカい花火を打ち上げるのが特徴。忘れた頃に「武幸四郎ここにあり!」としっかりアピールするので、不思議と印象が強くなります。
1997年、騎手になって2日目でG2のマイラーズカップを制した衝撃のデビュー。2000年、10番人気(ティコティコタック)で初G1勝利を果たした秋華賞。2006年、メイショウサムソンの3冠を阻止し、前年の不調から復活を遂げた菊花賞優勝(ソングオブウインド)。そして、年間10勝台の低迷が続いていた中で、今年のメイショウマンボでの大活躍…。
気がつけばG1は5勝。重賞は27勝。騎手としてかなり立派な数字です。しかも、重賞27勝中1番人気での勝利はたったの4回。逆に、5番人気以下で14勝ですから、典型的な「穴ジョッキー」です。
大レースで来た時の爆発力。インパクトの大きさ(馬券の荒れ方も含めた)。これが、幸四郎騎手が「不思議な存在感」を放っている理由だと思います。
数年に1度回ってくるチャンスを、しっかりモノにしている。「特別どこか秀でた技術や才能を感じない」と先述しましたが、腹が据わった勝負騎乗ができる点は彼の強さ(怖さ?)であり、これが「1発」を可能にしているのではないかと見ています。ただ、それより何より、やはり「持っている」男だと思います。
まあ、個人的にはその1発パワーを、今年の桜花賞で発揮してほしかった…。馬券は、アユサンとメイショウマンボの2頭軸で勝負。今から思えば、我ながらけっこう先見性のある予想でしたが、あの時の幸四郎騎手の騎乗はダメダメで大敗。かと思えば秋華賞は実に落ち着いた好騎乗で快勝。本当に読めない騎手で、競馬ファン泣かせでもあります。