10月26日に公開されるインド映画『マッキー』を試写で観ました。『ロボット』や『きっと、うまくいく』などのヒットで、すっかりクオリティの高さが知れ渡ったインド作品ですが、この『マッキー』も傑作だったのでちょっとご紹介。
主人公はなんと「ハエ」。彼女をめぐって悪人に殺されてしまった青年が、ハエに生まれ変わってその悪人に復讐する物語です。
今年はじめ、テディベアがしゃべるハリウッド映画が大ヒットしました。可愛いクマのぬいぐるみがお下劣な言葉を発するギャップがウケたわけですが、さてさて、とても可愛いとは言えないハエが主人公だとどうなるのか…。
心配ご無用です。序盤こそ、そのビジュアルに「う~ん」となりますが、そのけなげな姿を見ているうちに、徐々に愛おしくなってしまうから不思議。ある方法で悪人に「お前を殺す」と宣戦布告する場面は妙にカッコいいですし、最後は必ず「頑張れ!」と応援したくなると思います。
映像も素晴らしい。『ロボット』も手掛けたスタッフだけあって、縦横無尽に飛び回るハエ目線がうまく表現されています。普段人間から見ている世界が巨大に、しかもスピード感たっぷりに映され、「よく撮ったな~」と感心すること請け合い。
悪人役のスディープ(役柄と同じ名前)の演技も秀逸です。昼夜問わずのハエの攻撃に悩まされる様子を、面白おかしく、しかもどんどんやつれていく感じをうまく表しています。ハエはCGですから、全部1人芝居なんですよね。そう思うと凄い。『テッド』で、マーク・ウォールバーグが一人で(仮想の)テッドに殴られている撮影シーンには笑いましたが、スディープも、顔の周りをハエが飛んでいる感じがよく出ていて、思わずこっちまで耳元でハエが飛んでいような気にさせられました。
そして、クライマックス。まさかこの映画でウルウルするとは思いませんでした。ハエなのに…。
上映時間は2時間5分。インド映画も観やすい尺のものがたくさん出てきて嬉しいです。
あと、意外とファミリー向けな感じも受けました。吹替版も上映されるようですが、字幕でも難しいこと一切なし。配給会社の方が、インドでこの映画を観た時に「字幕はないけど90%は理解できた」と話していました。ハエがしゃべれない分、ジェスチャーなどでわかりやすく表現されており、映像だけで十分ストーリーがわかるようになっています。非常にシンプルな勧善懲悪映画ですし、子どもでも楽しめると思います。