【Vol.20】ユナイテッド・シネマが今治を運営受託
2013年10月04日
ユナイテッド・シネマが、運営受託サイトを増やしている。今年3月のトリアス久山(福岡県)に続き、11月にフジグラン今治(愛媛県)へのシネコン開業が決まった。
同社の運営受託サイトは、他にウニクス上里、ウニクス南古谷(ともに埼玉県)の2カ所があり、年内に全4カ所を数えることになる。昨年、住友商事からアドバンテッジパートナーズに株主が変わり、武藤社長のもとで「運営受託モデル」での出店を推進すると表明していたが、まさに有言実行である。
今回決まった「ユナイテッド・シネマ フジグラン今治」は、商業施設フジグランの一画を占める。規模は、6スクリーン、909席を予定。11月30日の開業予定で準備が進む。
ご存知の方も多いと思うが、この場所には、9月末まで佐々木興業の映画館「シネマサンシャイン今治」があった。ユナイテッド・シネマの劇場は、その後継の施設となる。聞くところによると、ロビー回りは同社仕様のデザインに模様替えし、その一方で、各シアター内はほとんど手を入れないそうだ。映画館をなくしたくない、でも、あまりおカネはかけたくない、なるべく早く再開したい…。今回の再オープンの裏側が見えてきそうな気がする。
さて、同社の運営受託サイトは4カ所目だが、先行した2サイトは新規開業の物件だった。今年の2サイトは、別の興行会社が運営していた映画館があって、そこが撤退した後に、同社が受託で入った。
日本でのシネコンは今年で20周年を迎え、定借の物件の多くが契約満了を迎える時代に入る。それは、閉館するシネコンが増えるであろうことを意味する。そうした物件が、最終的にどうなるのか。
シネコンを残したい家主。直営のリスクを負えない興行会社。その際の妥協点というか、お互いに何かしらのプラスが得られるのが運営受託だとも言える。
7月に再開した「こうのすシネマ」のように、地方自治体がシネコンを所有するケースも出てきた。今後、シネコンの一つの形として、運営受託が定着していくのかもしれない。
松本 貴則(まつもと・たかのり) 映画部デスク 兼 サイト事業部所属
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。