【Vol.19】機動警察パトレイバーの秘密
2013年09月27日
今週水曜日、25日に「機動警察パトレイバー」の完全新作実写プロジェクトの概要が明らかになった。アニメ史に残るあの「機動警察パトレイバー」を、どう実写化するのか、業界内外で関心が高いのではないかと思う。
今回のプロジェクトの名称は「THE NEXT GENERATION‐PATLABOR‐」。押井守が総監督を務め、登場人物は世代交代し「3代目」が主人公となる。
製作発表記者会見が25日に千葉県柏市で行われ、取材に足を運んだ。詳しくは、日刊文化通信速報をご覧いただきたい。
ここでは、その記者会見がユニークな内容だったので、少々触れておきたい。会見場は新柏倉庫(十余二南物流センター)。その名前を聞いても、ピンと来ない。集合場所はTX柏の葉キャンパス駅。そこからシャトルバスで運んでくれるという。待っているとバスが到着。バスに乗り込むと「なんだか、おかしいぞ」と異変に気づく。窓にはカバーがしてあったり、カーテンが閉められていたりで、外を一切見ることができない。それに、取材陣が座る後方座席と案内役が座る前方座席の間にはカーテンがあって、取材陣の乗り込みが完了すると有無を言わさずカーテンが閉じられた。バスの後方座席は外光の射さない密室状態。そうか、秘密裏に撮影を行っているので、会見場までの道程も極秘にしたいのだなと理解した。
間もなく発車。10分ほどで車が停まる。前方と後方を隔てていたカーテンが開き、外に出ると、そこはすでに倉庫の中。確かに、ここまでの道順はまったく分からなかった。
取材の受付時には、薄手のジャンパーを手渡され、着用してほしいとのこと。背中には「特車二課 広報班」の文字がある。取材陣を劇中の「特車二課」のメンバーとして扱い、このプロジェクトを「広報」する役割を担ってほしいという意味合いらしい。
倉庫の扉を開けると、中には実物大8メートルの98式イングラム(パトレイバー)。これは、すごい迫力。コックピット内に実際に人を入れて撮影するそうだ。周りを見渡すと、他にも車両の類がたくさん。隊長室などのセットも作り込まれている。取材陣が見るのは自由だが、写真撮影は98式イングラムのみOK。こんなに極秘で進められているプロジェクトである。
さて、このプロジェクトは公開形態が特殊で、「興行」という視点でも面白い取り組みとなる。シリーズ全12話(各約48分)+0話(約10分)を劇場上映用に全7章として構成し、2014年4月より順次イベント上映する。続いて2015年に、長編映画(タイトル未定、約100分)を全国拡大公開する。
配給はいずれも松竹。ただし、前者のシリーズ全7章は「松竹メディア事業部」が、後者の長編映画は「松竹」がそれぞれ配給する。つまり前者は、松竹社内では「ODS扱い」となる。アニメの「機動戦士ガンダムUC」や「宇宙戦艦ヤマト2199」で培ったイベント上映のノウハウがどう生かされるのか。また、長編映画は元来の「映画」部隊が扱うことになるわけで、松竹社内での仕事の割り振りや連携がどう行われるのか。
ポテンシャルの高いプロジェクトなだけに、大きな成功が求められるだろう。
松本 貴則(まつもと・たかのり) 映画部デスク 兼 サイト事業部所属
2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。